湘南日独協会会報 Der Wind

 VOL.21 NO.2 通巻 123
 発行 2019. 4.14
 更新 2019. 4.19
   

 連絡先

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 ご案内

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 〒251-0025
 藤沢市鵠沼石上1-1-1
  江ノ電第2ビル7F
   

湘南日独協会成人一年目を迎えて
会長 松野 義明

昨2018年は、当協会の設立20周年という節目の年を祈念して、様々な記念行事を行ってまいりましたが、 会員の皆様のご協力のおかげですべて成功裏に終わり、皆様からも高い評価を頂くことができました。 この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。 当協会もこれから21歳、成人としての第一歩を踏み出すわけであります。

新聞やTVの報道からも明らかなように、今や、世界の至る所で国際的に様々な不安定要因が顕在化し、 それによって膨大な数の人達が自国から他国に避難して落ち着きのない不安な日々を送ることを余儀なくされています。 カールスルーエに住んでいる友人の話によると、ヨーロッパ最大の難民受入国であるドイツは、 「おもてなし」とか「人道的受入れ」のレベルをはるかに超えた量の難民受け入れに真摯に取り組んでおり、 どうしたらその人たちにドイツで仕事をしてもらい、経済的に自立してもらえるかを真剣に考えているそうです。 難民がドイツの社会でその構成員の一人としての存在意義を自他ともに認め合い、生まれてくる子供たちに適切な教育を施し、 幸せな一生を送れるようにするためにはどうしたらよいかを、 難民側も受け入れ側も想像を絶する日々の不安に苛まれながら懸命に考えているとのことでした。 その結果として、政治的にも、極右、緑などの党派も若干の増加傾向にあり、気になるとのことでした。

ドイツに関心を持つ日本人、 日本に関心を持つドイツ人ともにお互いの国の文化の明るく楽しい面を共有し享受することはもちろん大切ですが、 暗く深刻な面からも目を逸らさず、現実への認識を共有して、 日独二国間の信頼を深めていくことも大切な文化交流の一面であると思います。

現実からは遠い想定かも知れませんが、何らかの原因により、万が一、日本に大量の難民が流入するような事態になったら、 我々日本人はどんな反応を示すでしょう? ものの考え方の柔軟性という意味で、現在のドイツに学ばなければならないことが多々あるような気がしてなりません。


お知らせ
募集中
 ドイツ語講座の受講生募集中
   湘南日独協会では、ドイツ語講座を開講し、受講生を募集しています
   詳しくは、 こちらをご覧下さい

 合唱団アムゼルの団員募集
   湘南日独協会混声合唱団 アムゼルでは、団員を募集しています
   詳しくは、 こちらをご覧下さい

開催イベント  詳しくは、こちらをご覧下さい
 4月例会
   年次総会、および総会後、名画鑑賞会「バルトの楽園」を上映予定
 5月例会
   講演会 パイプオルガン その歴史と構造
 6月例会
   講演会 高等技術教育の独仏比較
 7月例会
   講演会 カフカの『変身』について
 談話室SAS
   5月10日(金) 6月 7日(金) 7月 9日(火)

会員の皆様へのお願い  
投稿のお願い
会員の皆さんの日頃のご活躍を会報でお知らせしたいと思います。 演奏会・展覧会・発表会・講演会等の予定をお知らせ下さい。
会報は季刊、4月、7月、10月、1月の第2日曜日発行予定です。 前月の中旬までにメール・郵便のいずれでも結構です。お待ちしています。

皆様へ、ご協力お手伝いのお願い
隔月発行の会報Der Windの発送作業を、原則、季刊4月、7月、10月、1月の第2日曜日、午前10時から行っています。
お手伝い頂ける方は、ご連絡頂ければと思っています。

年会費について
2019年度の会費納入の時期になっています。会報発送の折、振り込み用紙を同封しています。どうぞ早めの納入をお願い申し上げます。 なお、ご寄付項目も設けておりますのでご協力頂ければ有り難く運営に役立てたいと思います。

これまでに、会費を振り込み頂いた方でお名前の記載がない方が居られます。会の方へご連絡いただきたくお願いします。




 これまでの掲載記事
   (寄稿など)


  会員掲示板(これまでのホームページ掲載記録 - ältere Nummern)
  劇場便り
  マインツから
  Deutsche Witze
  これまでの協会主催イベントについて:イベント情報
  私とドイツ
  皆様から寄せられた岩崎先生への追悼文



 活動案内


  

 2008年 2009年
 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
 2015年 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度



 関連協会



 日独協会(JDG)

 〒160-0016 東京都新宿区信濃町18番地マヤ信濃町2番館
 受付時間:月〜金 10:00〜18:00
 TEL: 03-5368-2326 FAX: 03-5368-2065


 横浜日独協会(JDGY)

 〒223-0058 横浜市港北区新吉田東2-2-1-913
(事務局:能登)045-633-8717



 提携協会



 ワイマール独日協会

  Rainer-Maria-Rilke-Straße 10A, 99425 Weimar
   c/o : Peter Käckell
   E-mail : djg-weimar@t-online.de

開催行事
予定

湘南日独協会 催事カレンダーは、こちらからも、ご覧頂けます

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月例会

会場 湘南アカデミア 7階


4月例会 年次総会

日時 2019年 4月 28日 (日)
  14:00〜15:00  年次総会
  15:15〜17:00  名画鑑賞会 「バルトの楽園」上映
   解説 吉田 克彦 氏
   粗筋
    第一次大戦中の徳島県鳴門の捕虜収容所を舞台とした収容所長、地元住民とドイツ兵捕虜との
    交流を描いた事実に基づく映画です
    この時交響曲第九「歓喜の歌」が、日本で初めて演奏されました

会費 無料



5月例会 パイプオルガン その歴史と構造

日時 2019年 5月 26日(日) 14:30〜16:00
講師 松崎 譲二 氏
概要 中世以後、主にヨーロッパの教会を中心に、多様な発展を遂げたパイプオルガン。
   その複雑な仕組みと歴史について解説して頂きます。
   講師は、ドイツでオルゲルマイスターの称号を取得されたパイプオルガン製造会社の
   現役社長です。

会費 1,000円

懇親会 会場「モキチ」 会費 4,500円



6月例会 高等技術教育の独仏比較

日時 2019年 6月 30日(日) 14:30〜16:00
講師 吉森 賢 氏
概要 ヨーロッパでは、物作りの教育はどのように行われているのでしょうか
   独仏を中心に、また、日本の大学レベルでの技術教育についてもお話頂きます。
   さらに、話題のカルロス・ゴーンが何故あのような行動をとったかについても触れて頂きます。
   講師は、フランス、ドイツ、イギリス等各国の大学で長く教鞭を取られた経験をお持ちです。
   現在、横浜国大名誉教授です。

会費 1,000円

懇親会 会場「宗平」 会費 4,500円



7月例会 カフカの『変身』について

日時 2019年 7月 28日(日) 14:30〜16:00
講師 寺田 雄介 氏
概要 カフカの作品の中で最も知られている作品『変身』が世に出されてから
   早くも100年が経ちました。
   この作品は、メデイア・テクノロジーが普及し、人間社会のあり方が急速に変化した
   20世紀初頭に誕生しましたが、私たちの生きる現代社会にも通じる様々な問題が描かれています。
   その一端を、皆様と一緒に考えて見たいと思います。
   ドイツ留学経験、当世学生気質なども交え、お話頂きます。
   講師は、慶應大学文学部卒業、専門は20世紀ドイツ文学、慶應大、ICU等各大学で
   講師をされた後、現在は獨協医科大学専任講師として活躍されています。

会費 1,000円

懇親会 会場「宗平」 会費 4,500円


「談話室SAS」

会費 1,000円

5月 談話室 SAS
   日時 2019年 5月10日(金) 15:00〜17:00
   会場 ミナパーク 5階 ミーティングルーム 2

6月 談話室 SAS
   日時 2019年 6月 7日(金) 15:00〜17:00
   会場 ミナパーク 5階 ミーティングルーム 2

7月 談話室 SAS
   日時 2019年 7月 9日(火) 15:00〜17:00
   会場 ミナパーク 5階 ミーティングルーム 1

湘南日独協会のシュタムティッシュ「談話室SAS」をご紹介します
会員 伊藤 志津子

SASの名前に「談話室」を付け加えました。 Stammtischについて説明したいと思います。

1)「談話室SAS」のSASは内容を表すドイツ語の頭文字を3つ並べたもので、サスとも呼ばれる。
 SAS : Schwaetzerei(おしゃべり) Am(で) Stammtisch(常連客の予約席)

2) Der Stammtisch (シュタムティッシュ)の2つの解釈
 * レストランや居酒屋に規則的に集まる客のグループが囲むテーブル
 * レストランや居酒屋の決められたテーブルで定期的に出会う客のグループ

3) この会は月一回開催される。2週目の火曜日か金曜日の開催が多い。8月は夏休み。
  会場はミナパーク(藤沢商工会館)のミーティングルーム(席数およそ10人)で
  時間は午後3〜5時、5時からは居酒屋へ

ドイツ人も1, 2名の参加があるので、ドイツ語でおしゃべりすることも出来る。 生活習慣や文化の違いを紹介し合ったり、確認したり、政治のありかたや教育制度の良し悪しまで、 参加者は自由に気楽に発言している。 気楽に誰かが話すことでよいのだが、2時間を充実させるためにあらかじめその日のテーマを決める。 その日のテーマを決めた人に話の口火を切ってもらうが、その日の参加者のそれぞれの興味のありかたにより、 話題がどの方向に進むかは全く予知できない。そこが自由で楽しい。

2014年の初開催から現在までの談話室のテーマを抜粋する

2014年

『外国人』『自由時間の作り方』

2015年

『自由時間』『人と動物のつきあい』『住まい・生活空間』

2016年

『モラル崩壊』『個人情報保護』『Inklusion』『幸せとは』
『音声情報と標語にあふれる国』

2017年

『日本人らしさ』『日本のマンガ文化』『技術』『Premium Friday』『お金』
『経験から得た知』『歴史豊かな静岡市』

2018年

『結婚と離婚』『日曜日』『Fasching "Die fuenfte Jahreszeit"』『おもてなし』
『良寛の足跡を訪ねて』

2019年

『ねこブーム』『元号』

振り返って見ればその年の街中の話題がそのまま談話室SASのテーマになっている回もあり、興味深い。

私のシュタムティッシュとの出会いは40数年前、スイスの田舎の小さなレストランだった。 隅っこの小さなテーブル上にStammtischの札が置いてあった。当時ドイツ語入門者だった私は、stammmは幹、tischは机、 これは何か由緒ある幹で作られたテーブルである、と勝手に理解して、その貴重品らしき木のテーブルを何度も眺めた。

それから間もない頃、スイス人の知人夫婦の家に10日ほど滞在した。ご主人が毎日夕食後に外出するのを不思議に思い、 どこにお出かけ?と尋ねてみると、レストランに行くと言う。村の唯一のレストランで飲みながら、 奥様いわく「情報収集の集まりに参加する」であった。

奥様は笑いながら付け加えた。「シズコ、わかる?我が家に日本女性が泊っているって、村中に知れ渡っているのよ」

その後ドイツでは、我が夫がシュタムティッシュに出かけるようになった。 情報収集に興味のない夫は机を囲んでもっぱらSKAT(ドイツのトランプ遊び)を楽しんでいた。

湘南日独協会の「談話室SAS」も2時間後には皆で居酒屋に向かいます。

それからが飲みながらの「シュタムティッシュ」となり、ドイツやスイスのStammtischにより近くなります。 しかし既成のシュタムティッシュにこだわることはありません。 湘南日独協会独自の発想でどの方向に進んでも自由とし、今後長く続いていくように願っています。 「談話室SAS」は入口を広く開けて皆さまの気楽なご参加をお待ちしています。


ご案内

湘南アカデミア講座のご案内

会員 西澤 英男氏(ヨーロッパ史研究家)の
    「ヨーロッパ近・現代史の中の日本とオーストリアについての講座



今年は、日墺修好条約締結 150周年記念を迎えます。
そこで、両国の友好に係る事項を様々な視点で捉えて、話を進めていきたいと考えています。


詳しくは、こちらをご覧下さい


会員のコンサートのご案内

会員 松野 美智子さんのスプリング・コンサート
    松野 美智子ヴァイオリン・リサイタル

日時 2019年 5月22日(水) 14:00 開演 (13:30 開場)
会場 ミューザ川崎シンフォニーホール 市民交流室

詳しくは、こちらをご覧下さい


会員 川久保 純子さんと高橋 愉紀さん
    ムーサ キャンドル コンサート

日時 2019年 6月 6日(木) 19:00 開演 (18:30 開場) 川久保 純子さん
   2019年 7月 4日(木) 19:00 開演 (18:30 開場) 高橋 愉紀さん
会場 藤沢リラホール

詳しくは、こちらをご覧下さい

寄稿


ドイツ滞在で学んだドイツ語と生活体験記

会員 杉山 麻衣子


ハンブルクでの杉山さん

 
杉山さん (近影)               フリース先生の授業     

ドイツ語講座で講師を務めていらっしゃるArndt-Olaf Friess先生による企画 「冬の集中講座 in Germany〜6日間ドイツ語&生活体験」に参加しました。

私は12月26日にドイツへ出発し、Hamburgから南へ20kmほどに位置する町Buchholzのホテルに前半、 後半はその隣町JesteburgのFerienhausに宿泊。授業が行われる教室は、 Jesteburgにある先生のご自宅の離れです。授業は6日間が基本の期間でしたが、 延長していただき7.5日間、先生とマンツーマンという贅沢な授業を受けました。

授業の内容は、レストラン、ホテルや買い物の場面でよく使う会話表現から、疑問詞の受け答え方、 人物紹介や地図の説明など、文法・表現力の強化も狙ったものまで、凝縮された内容。 “ドイツ語を話して上達する”ように授業は行われ、対話数をこなす事で、 ドイツ語を“話し慣れる”事ができたと思います。

様々な体験もしました。先生や先生のご友人と一緒に飲みに行き、新しい交流を楽しんだ事。 郵便局から日本へポストカードを送った事。訪れた場所の一つである墓地は、とても綺麗に整備され、 緑に囲まれた広大な庭のようでとても興味深かったです。他方、電車の遅れや券売機の故障、 銀行のATMが利用できないという困った場面に遭遇した事も、対処方法についての見識が広がる経験でした。 そして、授業の最終日には、先生より、リンゴ酒を造る際の表現だという次の言葉を送っていただきました。 「Junger Most muss gähren! (若いリンゴはまだ発酵できる)」。深く感動し、 私の座右の銘となりました。熱心な授業のうえ、 あらゆる面で助けていただいたFriess先生に、心から感謝申し上げます。

授業期間が終わった後は、ドイツとオーストリアを観光する一人旅。 授業で習ったドイツ語を実践するために、なるべく人と会話をしようと心掛けて旅しました。 たくさんの人と交流し、助けられながら、計20日間の滞在が終了です。

今回の滞在で、ドイツの文化や価値観に触れた事により、自分の考え方が変わる良い影響を受けました。 特に、サービスを受ける側、提供する側の意識についてや、自分の意見を主張する事の大切さを学びました。 この20日間で収穫した事を、今後の自分の生き方に生かそうと思います。


槙 卓氏講演「歴史に埋もれた人々」
 −私の親族との関係から探る− を聞いて

会員 笹 信夫

1. はじめに

先生は多くの実話のうち四つの話を紹介した。
(1) 幕末:勝海舟と石川千代松
慶応4年江戸無血開城の際に、旗本石川潮叟、千代松の父子は板橋の官軍屋敷で談判し、 無血開城を実現させた。「西郷と勝」のみによって果たされたのではない。 後に千代松は東大で動物学を学び、モース(米)の影響を受け進化論を紹介。 ドイツ留学後東大教授となり、動物園の設立にも努めた。 (上野動物園のキリンはその提案による。)

(2) 明治:福沢諭吉と槙久馬八
槙家は新潟長岡藩の士族である。 長岡藩は幕末戊辰戦争では新政府と旧幕府の間で中立であったが、奥羽列藩同盟に加入し、 北越戊辰戦争で敗れ会津に向かう。
重傷の久馬八は慶応義塾に戻り塾の発展に尽力する。 −福沢諭吉は戦争が”キライ“であった。 (因みに欧米歴訪から戻った福沢は、長岡城落城の年に既設の蘭学塾を慶応義塾に改称している。)

(3) 大正:アインシュタインと石原 純
石原は東大卒後東北大助教授に招かれ、ヨーロッパに留学し、アインシュタインと共に学ぶ。 日本に相対理論を紹介し、アインシュタインの来日(大11)を実現させた。 (先生は石原訳のアインシュタイン全集第1巻を持参、貴重な蔵書を披露した。)

(4) 昭和:2.26事件と野中四郎陸軍大尉
蹶起将校の1人であったが余り自己主張のない人であった。 部下に「殺傷せず」を訓示し、野中隊が攻撃目標とした警視庁は無血占拠であった。 事件後真先に拳銃自殺をする。尚、弟・海軍大佐は、後年神風特攻隊を率いて戦死する(昭20)。
特攻機「桜花」は粗末な人間爆弾であった。

2. 所感

(1) 「歴史は人がつくるもの」と言うが、ここで紹介された人々は、 明治と昭和の2つの維新の縦糸あるいは横糸となって歴史を紡いだ群像である。 先生は「歴史に埋もれた…」と謙遜なさるがそうではなく、錚々たる家系の方々である。 しかも海外留学をしていろいろなジャンルで足跡を残していることに改めて驚嘆した。

(2) 槙有恒氏について触れたい。私の思いである。槙武の次男として(明27)仙台で生まれ、 仙台二中(旧制)から慶応に進む。アルピニストとして海外でも著名である。 山岳界の大立者であるが、(昭31)の「ヒマラヤの未登峰、マナスル登頂」の成功は山岳史上特筆に値する。
文化功労者、仙台市名誉市民。

(3)敗走の人々 ― 明治維新は東北の敗北史
北越戊辰戦争に敗れた長岡藩の家臣団やその家族は、向かった会津も落城し更に東に落ちのびた。 酸鼻を極めた旅であった。私の眼にはこの遁走譜と会津白虎隊の自刃が二重になって映る。 私は仙台の高校の時「白虎隊の生き残り」のことを聞いた。 長岡の人々が喘ぎながら会津を過ぎる頃白虎隊の最年少の飯沼定吉は刀で喉を突いたが死に切れずにいた。 (氏は後日仙台で然るべき要職に在ったと言う。) 戊辰戦争の悲劇は伏流水となって東北の人々の心の奥を流れ続けたのである。

(4) 温故知新
明治維新は、日本に西洋的社会変革を成功させたとして評価される。 一方,天皇を中心とし、政・官・財界の幹部を排除し、時代の閉塞感の打破を図った昭和維新は失敗した。 槙先生を囲んで現代史の実相や変革の構造を引き続記語り合う日を期待している。

       
講演する槙氏             笹 信夫氏


「クラシック音楽の楽しみ方」  第1回

会員 高橋 善彦

クラシック音楽の楽しみ方と題して、湘南日独協会の会報で、クラシック音楽を楽しむ方法を、 何回かに分けて、ご紹介させて頂くことになりました。 まず、簡単に自己紹介をさせて頂きます。 私が音楽を始めるきっかけになったのは、前回の東京オリンピック開会式、 当時中学一年生だった私は、ファンファーレを見て「トランペットを始める!」と思ったことです。 その後、高校生になって、鎌倉交響楽団と学校のオーケストラに所属し、バッハの音楽に出会い、 一気にクラシック音楽にのめり込みました。 その後、今でも演奏活動、指揮活動、音楽史の研究活動を続けています。

皆さんの中にも、クラシック音楽を聴いたり、見たり親しまれている方は多いと思います。 もう少し楽しんでみませんか?と、お薦めしているのが、「家で」音楽を楽しまれる時、 手元に「楽譜」を置いて楽しんでみませんか?ということです。演奏会ではありません。 家で楽しまれる時の話です。ここで、楽譜とは、指揮者が見るスコアのことです。スコアは英語のScore、 日本語では総譜、イタリア語ではPartitura、ドイツ語ではPartiturで、 オーケストラ全部の楽器の譜面をまとめたものです。

「譜面は読めない」と思われる方が多いのですが「読む」ではなく「見る」です。 楽譜とは長い歴史の中で生まれてきた、音楽を記述する方法で、実に良く出来ています。 作曲家が音楽を作るとき、スコアの形にまとめます。有名な曲のスコアをご紹介します。 大作曲家ベートーベンの有名な、第5番交響曲「運命」の冒頭のスコアです。


Ludwig van Beethoven : Fünfte Sinfonie c-Moll, Opus 67 / Erster Satz

楽器の名前がイタリア語の複数形で書かれています。管楽器は、各パート2人です。 上から、木管楽器 Flautiフルート、Oboiオーボエ、Clarinettiクラリネット、Fagottiファゴットです。 次が金管楽器、Corniホルン、Trombaトランペット、Timpaniティンパニ、続いて弦楽器の5部という順番です。 Allegro con brioは音楽の演奏速度の目安を表しています。 Allegroは、日本語で「速く」「活発に」と訳します。曲がゆっくりなら、 Andante「歩くように」、Adagio「ゆるやかに」となります。でも、音楽を聴きながら、 スコアをご覧になる訳ですから、「この音楽は、Allegroなんだ」と思って頂ければ、それで充分です。

このように、音楽用語はイタリア語が中心です。細かなことを知らなくても、 感覚的に音楽を「目で見る」ことが出来るようになっています。 もう少し見てみると、冒頭はff (fortissimo フォルティッシモ)と書かれていて、 6小節からp (piano ピアノ)となっています。これはご存じの方、多いと思いますが、 強弱記号で、音の大きさの目安を表しています。

次の例は、同じく第5番交響曲の第二楽章、ゆっくりな曲ですので、速度記号は、Andanteとなっています。


Ludwig van Beethoven : Fünfte Sinfonie c-Moll, Opus 67 / Zweiter Satz

第二楽章の冒頭は、ビオラとチェロが旋律を演奏しています。譜面の下には、dolceと書かれています。 デザートのことではありません。「甘く」という意味の発想記号です。一番下のコントラバスには、 pizz.と書かれています。これは、ピッチカート(pizzicatoの省略形)、弦を、指で弾く奏法の指定です。 この第二楽章の最初を聴いていて、コントラバスが、指で弾いている音が、聞こえるでしょうか?

スコアを見て、知っていると聞こえてきます。これが、スコアを見る、一つのポイントです。「知っていると聞こえる」

次の例は、同じくベートーベンの第6番交響曲「田園」の冒頭です。


Ludwig van Beethoven : Sechste Sinfonie F-Dur, Opus 68 - Pastorale/ Erster Satz

第一楽章*の最初から少し後に続く、スコアでは次のページに、以下のような箇所があります。
(会報には「第二楽章」となっていますが、「第一楽章」の間違いです)


赤矢印の箇所:クラリネットが少し吹いて、これに引き続いて、オーボエが吹き始め、田園に着いた時の、 ワクワクするような旋律を演奏します。この時、下で2本のホルンが柔らかな田園風景の雰囲気を表す、 長いだけの音を鳴らします。チェロは風を表しているのでしょうか?

スコアを見ていると、
・どの楽器が何をやっていて、音楽を作っているのか
・楽器をどのように組み合わせ、一緒に演奏させると、どの様な音がするのか
・作曲家は、どんな思いを込めて、楽譜を書いているのか
というような、新しい発見があります。

スコアは、作曲家が書いた音楽を伝えられる全てですが、スコアに書かれている各記号を、ここで少し説明したように、 目安でしかないことがわかります。ここから先、どのように解釈して、どのように具現化するのかは、 指揮者を含めた演奏家の仕事です。ですから、スコアを見ていると、 カラヤンとバーンスタインの解釈の差が見えてくるかもしれません。

スコアを見ることは、音楽について、色々な発見、疑問など興味をお持ちになる、きっかけとなります。 オーケストラや音楽の歴史も潜んでいます。それに、美しい音楽の楽譜は美しいです。

スコアの入手方法

便利な時代です。ネットワークには、各著作権の消滅している、Public domainのスコアを、 いつでも見ることが出来るようにという趣旨で、 IMSLP(International Music Score Library Project)というサイトがあります。 非会員の場合、ダウンロード開始まで15秒ほど待たされますが、基本的に無料で使えます。 日本語で曲名、例えば、「ベートーベン 交響曲第5番 imslp」と検索すると出て来ます。

有名な通販サイトでも、スコアは入手できます。スコアには、小型スコアという、私の目には無理なサイズと、 大型スコアがありますので、ご利用になる場合はご注意下さい。料金も様々です。私は、Dover出版社から出ている、 ペーパーバックで、割安なものを愛用しています。 こちらは、例えば、ベートーベンの交響曲第5番、第6番、第7番の3曲が一冊になっている曲もあります。 内容については、じっくり確かめた上でご利用ください。

次回以降についての見込み

音楽と楽譜の歴史概要:どのように楽譜は生まれたのか、を知ると「楽譜は読めない」などと言う恐れは無用です。を予定しています。

以降は、まだ未定ですが、音楽の発展、弦楽器の歴史、管楽器の話、打楽器の話、何故、指揮者は必要なのか? 作曲家の話、 名曲の話などを取り上げて行きたいと思います。
尚、ご質問、ご希望、ご意見などは、協会の公式メールアドレス でご連絡ください。

筆者

ご参考(IMSLP) - Die Sinfonien des Komponisten Ludwig van Beethoven:
  Beethovenの交響曲は、こちらからが便利です

  第五番交響曲 : 第一楽章 第二楽章 第三楽章 第四楽章
  第六番交響曲 : 第一楽章 第二楽章 第三楽章 第四楽章 第五楽章



1月例会
「ドイツ語発音ワークショップ〜超入門編〜」
を聴講して

会員 大久保 明

講師の中川先生は長年湘南日独協会のドイツ語講座の講師です。 講座の生徒以外の会員とお会いする機会は少なく講演が望まれていました。 今回やっと実現し外国語を学ぶ上で非常に大事で難しい「発音」のワークショップという なかなか出会えない機会を得て出席した報告です。

主たる内容を順を追って述べてみる。
意味を区分する音である『音素』は日本語は24〜25、ドイツ語は50以上ありドイツ語をカタカナで表記することでは正確な意味が伝わらない (ドイツ語の歌詞にカタカナでフリガナを付記するのでは正確な発音は出来ない)。 口と耳を鍛えることが必要。口の構造は日本人もドイツ人も同じなので、 12歳ごろまでに繰り返し繰り返し発音することにより発音が習得可能になる。 また『母音数』は日本語は5であるがドイツ語では16存在すると言われている 口の動きでは、舌の縦(上下)の他前後(ひっこめる)といった動き、つまり舌にも力を入れる必要がある。 音を伸ばすのにも違いがある。ドイツ語では同じ音での伸ばしは無いので、日本語の「おばさん」と「おばあさん」の発音には注意が必要。

『子音』の発音では、口より強く空気を出す事が大事である。 ドイツ語で単語の語尾につくTとDの発音ではカタカナ表記では区別がつかない。 WeinのWとBeinのBも同様にカタカナCCでは区別がつかない。 LとRの「側面音」や、ドイツ語での「N」と日本語の「ん」も同様、舌の動きが重要。 ドイツ語と日本語の発音は大きく異なることから、話をするときには、 ポーズやイントネーションに気を付けることは勿論、何を伝えたいか、そのためにはどの単語にアクセントを置くか、 自分の気持ちを込めて相手に伝える気持ちを強く持って話すことが大事である。 一つの練習としてドイツ語の歌を覚えことも大いに役立つとのことでした。 会場には会員以外の参加者も多く発音のワークショップに積極的に参加されていたのが目に付きました。


中川先生の講演に寄せて

会員 田中 幹夫

中川先生にはドイツ語講座で大変お世話になっています。今日は先生のご専門でもあるドイツ語発声の基礎中の基礎について、 実践を交えたお話を楽しく聴かせていただきました。 半世紀以上も前に始めた語学学習を振返ってみますと、英語を習い始めたとき最初にしたのは辞書選びでした。 第二外国をドイツ語にした時も、生協で相良守峯の辞書をまず買いに行きました。 私の語学学習は「読み書き」でした。それでも中高時代はビートルズなどの英語の歌のコピーに熱中した 時期もあり、耳や口も多少は使いました。しかしドイツ語に関してはまさに単位だけに終わりました。 いま改めてドイツ語を学びなおし始めて、つくづく耳と口のトレーニングの大切さを感じています。 でも物事を始めるのに遅いということはないと自分に言い聞かせて Schritt für Schritt やっていきたいと思いますので、中川先生宜しくお願いします。


中川 純子先生


懇親会



劇場便り その16

これまでの劇場だよりは、こちら からご覧頂けます

ブレーマーハーフェン 志賀 トニオ 氏

昨日、現代オペラのプレミエを終え、今シーズンも残すところ2演目となりました。 来週からはピアソラのタンゴオペラの立ち稽古が始まります。 この時期になるとそろそろ皆シーズンの終わりを見始め、夏休みの過ごし方も決め始めます。 その夏季休暇の夢を見ながら、あと少し頑張れば休める!と思いながら力を振り絞ります。 このような価値観は、夏に6週間の休みがあるドイツの劇場ならではでしょう。 ドイツではご存知、年間6週間の休みが取れるのですが、一般的な会社員の場合、 その6週間を一度にまとめて取らず、何回かに分けるのが普通です。 夏に4週間、クリスマスに1週間、イースターに1週間といった具合です。 この例は子供がいる場合で、学校の休みに合わせて休暇を取るようにし、 逆に子供がいない場合は、その時期を外し、会社が通年で機能するように調整するのです。 ですから、必然的に休んでいる人の仕事を他の社員が分担する事になります。 劇場の場合、仕事内容が特殊で、仕事を分担する事が難しいため、 年に一度まとめて6週間休む事になっています。クリスマス、 新年及びイースター等の祭日には本番がある事が多いので、 特に私のようなコレペティトーアの役職の人はまとまった休みはなかなか取れません。 歌手やオーケストラ奏者は、自分が参加していない演目が必ずあるので、夏以外に、 休みをもらう事が可能です。私も運が良い年は、夏以外に2〜3週間程度休みが取れる事がありました。 また、合唱団員の場合、夏に8週間休みがあるので、 外国人の団員達は長期間祖国に帰れる機会に恵まれていると言えるでしょう。

このように書いていると日本の方々に怒られそうですが、 この働き方の違いが日本とドイツの一番大きな違いの一つでしょう。 私の家族も毎夏日本に帰省していますが、数週間子供達と滞在しているのを不思議そうに見られているのをよく感じます。

劇場での仕事というのは、ドイツの中では極めて特殊で、多い仕事量に対して、 少ない賃金なのですが、日本の音楽家の仕事環境と比べたら夢のような環境と言えるでしょう。 しかしドイツ人にとっては、劇場の仕事は他の職業と比べて明らかに条件が悪く、あえてその仕事を選ぶ人が減っているのが現実です。 ドイツでお休みの話をすると、その話ばかりになってしまい、 いったいドイツ人はいつ仕事をしているんだという錯覚を起こしてしまいかねないので、 ブレーマーハーフェン歌劇場の演目についても紹介しましょう。

昨年は魔笛及び蝶々夫人と名曲が続きましたが、その後はDie Herzogin von Chicago/Kalman, Gier nach Gold-Mcteague/Bolcom, Maria de Buenos aires/Piazzolla, Mariechen von Nimwegen/Martinu. 4演目続けて、プロの音楽家でも知らないようなマイナーな曲が続きます。 曲名が日本語訳されていない為、ドイツ語で書かざるをえない程の曲を採り上げるのは勇気ある選択で、 その斬新なプログラムはこの劇場が内外で高く評価されている理由の一つとなっています。 1曲目はカルマン作曲のオペレッタ。カルマンといえばチャルダーシュの女王や伯爵令嬢マリツァが有名で ハンガリーのチャルダーシュとウィーンのワルツを融合して成功したと言われています。 この曲はシカゴ侯爵夫人と一応訳されていて、上記の二つのスタイルに加え、 アメリカのチャールストンやフォックストロットを採り入れ、楽器にもサックスを採用するなどして、 アメリカ的なサウンドを作り出しています。 その後のミュージカルというジャンルの先駆けとなった作品で、歌って、語って、 さらに踊る大変バラエティー豊かな秀逸な作品で、近年ドイツでは上演機会が増えています。 次のBolcomの作品はドイツ初演の現代曲です。アメリカ出身の作曲家で、 宝くじで一等賞を当てて大金持ちになってから、 人生が狂い始め不幸になっていくという内容のある作品です。 こちらも現代曲らしい難しい作曲技法にジャズやポップのスタイルを採り入れ、 アメリカ的なサウンドを作り出しています。これら2曲は、今シーズンのテーマであった”アメリカ” を意識した選曲となっています。 ここの劇場では毎シーズンテーマを決めて、それに沿った作品を採り上げています。 ブレーマーハーフェンは長い間、アメリカへの玄関口となっていた歴史があり、 多くの人がここから船でニューヨークに向かいました。 戦後は90年代までアメリカ軍が駐留したことから、大変アメリカとの繋がりが強い町なのです。 3曲目のピアソラのオペラは、所謂タンゴオペラとしてこちらも最近ドイツで上演機会が増えています。

そして最後のマルティヌーのオペラ。チェコ人の作曲家で、 オーケストラ作品等が演奏される事があり、私も名前は知っていましたが、 オペラとなると未知数。どんな作品なのか今から楽しみです


Die Herzogin von Chicago/Kalman


Gier nach Gold-Mcteague/Bolcom



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