湘南日独協会会報 Der Wind

 VOL.20 NO.3 通巻118
 発行 2018. 5.13
 更新 2018. 6.18
   

 連絡先

 TEL: 0466-26-3028
 FAX: 0466-27-5091
 Mail: jdgs@jcom.home.ne.jp
   

 ご案内

 湘南アカデミアの地図
 〒251-0025
  藤沢市鵠沼石上1-1-1
   江ノ電第2ビル7F
 


ご挨拶
会長からのご挨拶               会長 松野 義明



会員の皆様へのお願い

投稿のお願い
会員の皆さんの日頃のご活躍を会報でお知らせしたいと思います。 演奏会・展覧会・発表会・講演会等の予定をお知らせ下さい。 会報は原則奇数月の第2日曜日発行予定です。 前月の中旬までにメール・郵便のいずれでも結構です。 お待ちしています。

皆様へ、ご協力お手伝いのお願い
隔月発行の会報Der Windの発送(奇数月第2日曜日午前10時〜)、国際交流会そしてオクトーバーフェスト、 来年の記念行事等へのお手伝いを是非お願いいたしたく、皆様からのご連絡をお待ちしております。 皆様とご一緒にさらに楽しい会にしてゆきたいと願っております。

年会費についてのお尋ねとお願い
会費を振り込み頂いた方でお名前の記載がない方が居られます。 会の方へご連絡いただきたくお願いします。 また、まだお振り込み頂いていない方は早めにお願いいたします。



創立20周年記念行事

創立20周年記念行事が2月のブルーノ・タウトの遺した熱海旧日向邸見学会を皮切りに年内計画されています。 5月18日には、記念コンサートが開催され、大変多くの皆さんにおいで頂き、盛会のうちに終えることが出来ました。

9月には8日〜9日の2日間連続の講演会・座談会・ワイン試飲会が開かれます。
10月21日には恒例の湘南オクトーバーフェスト、そして11月17日にはドイツ料理を、 「食べるだけでなく作る楽しみも味わいましょう」とドイツ料理を楽しむ会が開催されます。

詳細は、こちら、創立20周年記念行事のご案内 をご覧いただき予定表にしっかりとご記入下さい。

時期 行事 会場
9/8 (土) 講演会 ミナパーク
9/9 (日) 在日ドイツ人との座談会
ドイツワイン説明・試飲会
ミナパーク
10/21 (日) ドイツ料理を楽しむ会 シーズ・エチュード
未定 日独生花交流会 未定



5月18日の記念コンサート開催時の記念撮影





 これまでの掲載記事
   (寄稿など)


  劇場便り
  マインツから
  Deutsche Witze
  私とドイツ
  会員掲示板(寄稿、お知らせなど)
  これまでの協会主催イベントについて:イベント情報
  皆様から寄せられた岩崎先生への追悼文



 活動案内


  

_2008年活動_ _2009年活動_
_2010年活動_ _2011年活動_ _2012年活動_ _2013年活動_ _2014年活動_
_2015年活動_ 2016年度活動 2017年度活動 2018年度活動



 関連協会



 日独協会(JDG)

 〒160-0016 東京都新宿区信濃町18番地マヤ信濃町2番館
 受付時間:月〜金 10:00〜18:00
 TEL: 03-5368-2326 FAX: 03-5368-2065


 横浜日独協会(JDGY)

 〒223-0058 横浜市港北区新吉田東2-2-1-913
(事務局:能登)045-633-8717



 提携協会



 ワイマール独日協会

 Rainer-Maria-Rilke-Straße 10A, 99425 Weimar
  c/o : Peter Käckell
  E-mail : djg-weimar@t-online.de


point mark 6月例会 講演会
「グリム童話と森:現代環境意識を育んだ
≪森はわたしたちのもの≫の伝統」

ドイツ人の森を愛する心と環境意識の高さは広く知られていますが、 これは古くからあるものです。 マックス・プランク歴史学研究所員の経歴をお持ちのドイツ文化史研究家が語ります。

日時 2018年 6月24日(日) 14:30〜16:00
講師 森 涼子 氏
会場 湘南アカデミア 7階
会費 1,000円

懇親会 「宗平」 4,500円


point mark 第42回
Schwatzerei am Stammtisch
日時  7月 10日(火) 15:00〜17:00
会場 藤沢商工会議所ミナパーク 5階
会費 1,000円


point mark 第61回
Singen wir zusammen
歌で楽しむドイツ語
日時  7月 15日(日) 15:00〜16:30
会場 藤沢商工会議所ミナパーク 5階
会費 1,000円

テーマ  Studentenlieder

問合せ・申込み 電話またはメールで
0466-28-9150(木原) mail icon

※詳細はこちらをご覧ください。
※これまでに扱った曲目についてはこちらをご覧ください。

point mark 7月例会 講演会
「日本で活躍した歴史上のドイツ人」

一般的には、実際に日本に来て調査し、 日本を広くヨーロッパに紹介した初めての外国人はケンペルと言われています。 しかし、来日して自身の才能を日本人に示し、 以後の日本に大きな影響を与えたドイツ人は他にもいます。 今回は、歴史に登場したそうしたドイツ人を多く紹介して貰います。 講師は、郷土史研究家であり、 また日本美術史の研究にも詳しい、小田原在住の会員です。

日時 2018年 7月29日(日) 14:30〜16:00
講師 関口 茂雄 氏
会場 湘南アカデミア 7階
会費 1,000円

懇親会 未定


point mark 20周年記念 特別行事
詳しくは、こちら、創立20周年記念行事のご案内をご覧ください

講演会
日時 2018年 9月 8日(土)
会場 ミナパーク 5階 502号室
会費 無料
T 10:00〜11:30  講師 Prof.Dr. Josef Kreiner
  「日本民族はどこから来たのだろうか」
U 12:30〜14:00  講師 若林 倖子 氏
  「ドイツ生まれ日本育ちの歌」
V 14:30〜16:00  講師 橋本 孝 氏
  「現代に生きるグリム童話」

懇親会 16:30〜18:00 (会場未定)

座談会とワイン試飲会
日時 2018年 9月 9日(日)

T 13:00〜14:30  
  在日ドイツ人との座談会
会場 ミナパーク 5階 503号室
会費 無料

U 15:30〜17:30  
  ドイツワイン説明・試飲会
会場 ミナパーク 5階 504号室
講師 賀久 哲郎 氏、木村 薫氏
会費 3,000円

point mark 第43回
Schwatzerei am Stammtisch
日時  9月 18日(火) 15:00〜17:00
会場 藤沢商工会議所ミナパーク 5階
会費 1,000円


point mark 第62回
Singen wir zusammen
歌で楽しむドイツ語
日時  9月 24日(月) 15:00〜16:30
会場 藤沢商工会議所ミナパーク 5階
会費 1,000円


開催イベントについてのお知らせ







寄稿



湘南日独協会創立20周年記念
2018年2月25日 熱海旧日向別邸
ブルーノ・タウト熱海の家訪問


会員 田中 満穂 氏


建物の前庭で田中氏と第1組

友達に建築専攻が一人いて彼が持っていた本の中にブルーノ・タウトがあったように思うが定かではない。 その後、日本文化を世界に知らしめた功労者の一人としてのブルーノ・タウトに 漠然と興味を惹かれていたが今日までまとまった本を読んだことはなかった。

社会人となり商売上のお付き合いのあった日本カーバイド社がタウトの関与した 唯一の日本での建造物を所有していることを知り是非一度見たいものだと 思いながら何十年もの年月が過ぎた。

そしてまた月日はめぐり、お茶の水大学で建築学の教鞭を取られていた 田中辰明先生とお話をさせていただく機会を得た。 同じ苗字、そしてともにドイツとの関与が深いということで話が弾み楽しい時間を 過ごさせていただいた訳だが、後日、田中先生のブログを見て、 先生がブルーノ・タウトの研究者であることにびっくり、 しかも共通のドイツ人の友達がいることも判明し二度驚いた。

そういう事もあり、ますます、一度は熱海のタウトが関与した建築物を見てみたいと 思っていたが、湘南日独協会の20周年記念春の行事で実現することになった。 望外の喜びであった。


海を見下ろす日向別邸入り口

日向別邸は備え付けのパンフレットによると、 アジア貿易で富をなした日向利兵衛が昭和8年(1933年)に温泉付き分譲地を購入し、 昭和9年から11年かけて建てた別荘とある。

木造2階建ての上屋は東京国立博物館の設計で知られる渡辺仁。 この建物は急斜面に建てられており土留めのかわりに鉄筋コンクリートで地下室を 造り屋上が庭園、その地下室に昭和11年タウト設計による部屋が完成したとのこと。

田中辰明先生の著作「ブルーノ・タウト 日本美を再発見した建築家」を引用すると 「滞在中の1933年に、『生駒山の小都市計画』(大阪電気軌道、現近畿日本鉄道)を 計画したがこれは実施に移されず、 旧日向別邸『熱海の家』がわが国におけるタウト唯一の作品となる。 全体は1933年から36年にかけて建てられ、タウトがかかわったのは35年からである。 (中略)日向は、銀座のミラテス工芸展でタウトのデザインした電気スタンドを買い、 そのデザインに共感した。 そこで熱海の地にすでに完成していた邸宅の鉄筋コンクリート造住宅の下部にできた 空間(いわば半地下室)に、居間と社交場をつくることを依頼したのである。


建物の平面図

そこには、日本的な素材を使い、桂離宮の面影をも追うことのできそうなデザインが 垣間見られる。 タウト自身の言葉によれば『全体として明快厳密で、ピンポン室(あるいは舞踏室)、 洋風のモダンな居間、日本座敷及び日本風のヴェランダを、一列に並べた配置は、 すぐれた階調を示している』ということになる。」

実際に見学した後の感想だが、日本の素材を使った丁寧な作りの中にモダニティを 感じさせるデザインが目を引く建築物であった。 依頼主の意図はどの部屋からも相模湾を眺めることのできる部屋ということが テーマとなっていたとのこと。 特に社交室の照明が小さな豆電球を横2列にずらっと天井から吊るして光の揺らぎを 感じさせるようなもので、日本趣味を持たせながらもモダニティを感じさせる部分であった。 全体規模としてはこじんまりとした感じだが、限られたスペースを有効活用しているとの印象である。 また、洋室と日本間の上段に登る階段はベンチにもなっていてそこに座って相模湾を眺める趣向となっている。


間取り図


天井からつるした豆電

ただ、惜しむらくは日本に来る前のタウトのドイツにおける建築家としての仕事と 比べると圧倒的に瑣末な作品と言わざるをえず、 タウトが当時置かれていた日本国内の状況がタウトが充実した仕事をするには 相当難しい状況だったのだろうと想像される。 結果、タウトは1933年5月から36年10月の短い日本での逃亡生活に終止符を打ってトルコに移住、 その地で1938年12月24日に他界している。

それともうひとつ、自分もこれまでタウトはユダヤ系ドイツ人とばかり思っていたが、 そうではない。タウトはキリスト教徒である。田中先生は前述の本で 「日本では、タウトはユダヤ人であったために政治的理由でナチス政権を逃れて来日した、 という説がある。志賀直哉はじめ有名人がそのような記録を残している。 しかしこれは正しくない。実弟のマックス・タウトが戦中、 戦後ベルリンで仕事ができたことからも、タウト=ユダヤ人説は否定される。 しかし当時の日本では、社会主義的思想・信条からナチス政権を逃れてきたとうより、 ユダヤ人であったので来日したというほうが受け入れやすく、 タウトを保護せんがために故意にこうした説を流した人がいたという説もある。」 と書いている。タウトは短い滞在期間の中で「ニッポン」、「日本美の再発見」、 「日本文化私観」、「日本 タウトの日記」と精力的に著作活動をこなした。 この活動においてタウトが日本国内にも広くしられ、 また建築の分野における日本的美を世界に知らしめた功績が高く評価されている所以である。

熱海のタウトの家を見たいと思い何十年も歳月が経ったがようやく見ることができた。 懐石料理をいただいたお昼の西紅亭も、 近隣に立つ坪内逍遥の雙柿舎も瀟洒な日本家屋で見応えがあった。

素敵な週末をありがとうございました。


内部でガイドの説明を受ける第2組の皆さん

見学についての手続きなどの情報

旧日向別邸の観光案内は、こちらから

熱海市役所 開庁時間内 平日(月曜日〜金曜日)
電話番号 0557ー86-6232 熱海市生涯学習課文化交流室
Eメール:bunkashisetsu@city.atami.shizuoka.jp

☆雙柿舎は日曜日のみ 問合せ:熱海市役所



ミュンヘンでのチャリティーピアノリサイタル


会員 西川 麻里子


演奏する西川さんと荻野さん

2018年3月11日ドイツ、ミュンヘンのMOVIMENTOにおいて、東日本大震災チャリティーピアノリサイタル、 Benefizkonzert für die Tsunami-Waisenkinder in Japan 「震災孤児たちの希望ある未来のために〜ピアノの響きに乗せて」が無事終了いたしました。 今回のコンサートは、ドイツ在住のリヒター恵子様が主催してくださいました。また、 バイエルン独日協会 (会員数800名、ドイツ国内最大の独日協会) の皆様もコンサートの主旨に賛同してくださり、 独日協会の共催という形をご提案頂いてコンサートの宣伝活動に多大なるご協力を頂戴いたしました。


会場の皆さん

コンサート当日は、独日協会の浅野昭博様、主催のリヒター恵子様のご挨拶に始まり、 在ミュンヘン領事館より木村総領事様が日本語とドイツ語でご挨拶をしてくださいました。 総領事様は、ご家族お揃いでいらしてくださいました。


挨拶されるミュンヘンの木村総領事

皆様のご挨拶に続き、荻野美恵子、西川麻里子、塩塚美知子によるピアノリサイタルです。 荻野・西川のデュオによる、メンデルスゾーン作曲のデュエット、中田喜直作曲の組曲 「日本の四季」、ブラームス作曲のハンガリアン舞曲、塩塚のソロでショパンのノクターン、 ラフマニノフの前奏曲、エチュード、リストの「オーベルマンの谷」を演奏いたしました。

休憩なしで80分ほどのコンサートでしたが、満席のお客様が暖かく迎えてくださり、 本当に幸せな気持ちで演奏させて頂きました。 会場に集った方々が、国籍を超えて被災地に思いを馳せ、会場はなんとも言えない暖かい雰囲気に包まれていました。 また、 ドイツダイジェスト (ドイツに住む日本人のための日本語フリーペーパー)の記者の方が取材に来てくださいました。 これから、コンサートについての記事を書いてくださるそうです。


日本語の地元紙

休憩をはさみ、震災の教訓を紙芝居にしたもののDVD「吉浜のおゆき」英語版の上映がありました。 大船渡津波伝承館の斉藤館長のメッセージも流され、 震災や津波の怖さや被害を知らないドイツの方や若い世代にも、興味深く感じて頂けたようでした。

また、お洋服をご寄付いただく形でご協賛頂きました「うさと」の「うさとができるまで」の上映がありました。 日本から、タイのチェンマイから、ドイツ地方都市から、 たくさんの方が自費で足を運んでこのコンサートのためにご尽力くださいました。

私たち3名も、たくさんの方々のお気持ち、お支えの中で演奏をさせて頂けましたこと、 このような機会に恵まれたことに心からの感謝を感じております。

ご来賓9名、お客様61名、無料の中学生以下のお子様は5名で、合計75名の方に ご参加頂きました。入場料金と募金は1,895ユーロになりました。 こちらは羽田空港で両替をして、240,039円になりました。 渡独前に、日本でも募金したい、というお声に応えて2箇所でハウスコンサートを行いました。 日本円での募金が、93,700円ございましたので、募金額の合計は333,739円になりました。 たくさんの方のお気持ちが、被災地の子供たちに届くことを願っております。



寄稿 マインツから
ドイツ学生生活

これまでのマインツからは、こちら からご覧頂けます


会員 長谷川 孔一郎 氏

ドイツの大学は基本的に1学期が半年です。 4月始まりの夏学期と10月始まりの冬学期があります。

日本のように高校卒業後に入学して自動的に学年が上がるのではなく、 学部によってカリキュラムが決まっており、それを自分のペースで修了していき学位を取得します。 その為、『大学○年生』といった概念はありません。さらに年齢も大きな意味を持ちません。 何学期目にどの教科を専攻しようが最終的に単元ごとの試験に合格すればいいのです。 ただその各試験は3回までしか受けられず、3回目で合格できなければその学部は 二度とドイツ国内で専攻できないのです。

私はスポーツ科学を専攻していますが、スポーツの場合、実技もその試験に含まれます。 前学期実技は器械運動(鉄棒、床)とダンスを選択しました。 試験は来学期に受ける予定です。私が前学期に受けた試験は二つで、 一つはスポーツ心理学、統計学と質的研究の3教科の混合試験です。 もう一つはスポーツ史、スポーツ組織学、科学哲学、量的研究、学術的勉強法入門の5教科の試験でした。 どちらも電子試験といってコンピュータで質問に解答していく試験方法です。 出題形式としてはマルチプルチョイス(5択で複数正解あり)が7割と記述が3割でした。 一つ目の試験は60分で63問、二つ目は90分で102問。 問題を素早く読み、理解し、正答を探し出す。 しかし速く解くことが大事なことかどうかには疑問符が付きます。 もちろん理解度が高ければ速く解答することは可能です。 しかし速く解けないからといって理解していないとは判断できないと私は思います。 特に言語の面でハンディがある外国人にはこの形式のテストで実力を測ることが難しいのです。 更に選択式というのも真の理解度を測るには物足りないなと感じたのが今回の試験でした。 学校の成績など能力の数字化の問題視については今後書かせて頂きたいと思います。

名目上Vorlesungsfreie Zeit(講義が開かれない時期)が休暇に値しますが、 試験がよく休暇期間中にあるので、実質、試験が終わるとドイツの学生は長い学期休みに入ります。



劇場だより その11

これまでの劇場だよりは、こちら からご覧頂けます

ブレーマーハーフェン 志賀 トニオ氏


桜の咲く自宅の庭

先日、オーケストラの打楽器奏者の引っ越しの手伝いに行ってきました。 2年程前に引っ越したばかりだったので、再度引っ越す理由を聞いてみると、家を買ったとの事。 ドイツの歌劇場ではオーケストラ奏者と合唱団員のみが終身雇用制で、指揮者、 コレペティトーア及びソロ歌手は単年ないし数年契約です。 従って、安心して家を買う事ができるのは上記の終身雇用の契約者になります。 ソロ歌手は単年ないし数年契約です。 従って、安心して家を買う事ができるのは上記の終身雇用の契約者になります。 ソロ歌手の場合は特に安定した職を持つ事が難しく、家族を持ち、 家を買うためにソロ歌手としての活動を諦めて合唱団員になる人も少なくありません。 劇場専属のソロ歌手の場合、その契約期間中は安定した収入を得られますが、 総支配人や音楽監督が交代する時に契約を切られてしまう事が多く、 その度に別の劇場を探さなければなりません。それを嫌って、最初から専属契約をせず、 フリーで活動する歌手も少なくありません。 ソロ歌手の場合、特に難易度の高い役柄ではゲストを呼ぶ事が多いので、 専属歌手として経験を積んだ後にフリーになり、 突然首を切られてゼロのなってしまうリスクを回避するのです。 その場合、交通の便の良い所に家を買って、そこからドイツ中に飛び回る事ができます。 指揮者やコレペティトーアの場合歌手と違い、フリーの演奏家の需要は大都市にしかありません。 ですから上記のソロ歌手のようにリスクを回避したい演奏家は、大都市に活動拠点を置き、 少しずつ人間関係を構築していきます。例えば、音大の非常勤、アマチュアオーケストラや合唱団等、 日本での音楽家と似た活動をする事になります。 専属契約を続けて劇場を渡り歩く場合には、生涯賃貸の物件に住む事が多く、家を買った場合には、 夫婦の一方が劇場を移る時に単身赴任する事になります。 このようにドイツの劇場で働く音楽家(世界中の?)にとって、 家族や家を持つ事は大変大きな問題となります。

さて、ここからは前回の劇場便りでご紹介したワイマール国民劇場での家の話をしましょう。

ここでは合唱アシスタントとして当初3か月の短期契約であったため、 劇場が住まいを用意してくれる事になりました。家賃は自腹ですが、月額150ユーロとの事。 ロストックの学生寮に住んでいた私は、そこでの家賃180ユーロより安い事に驚きました。 しかしワイマールのようなメジャーな劇場が用意する物件だから変な物件ではないだろうと思いましたし、 聞けば合唱監督も同じマンションに住んでいるとの事。 そしてさっそくオーディションの数日後にはワイマールでの仕事が始まりました。 ロストックから電車で5時間程でワイマールに到着し、直接劇場へ。 プロとして初めての劇場での仕事でドキドキしながら夕方の合唱団との稽古に参加。 合唱監督が指揮をし稽古をする時にピアノを弾くのが私の役目。曲目はカルメン、 神々の黄昏、トスカ、トゥーランドットの合唱箇所。 なかなかの難曲ばかりでしたが無事終了。 そしていよいよ例のマンションへ合唱監督と行くのかと思いきや、 鍵と住所の書かれた紙きれだけ渡させて、タクシーに乗って行けとの事。 同じマンションに住んでるのになんて不親切なんだと思いましたが仕方がありません、 諦めて言われた通りマンションにタクシーで向かいました。 数分で丘の上のマンションに到着。ややおんぼろの歴史を感じるたたずまい。 私の部屋は4畳半程で、トイレとお風呂は共同。しかし部屋にはベットも掛布団もない。 以前の住民が置いていったらしい毛布に似た敷物が一つだけ。そんな事もあろうかと、 用意周到に空気マットレスと寝袋をロストックで買って持参していた。 さっそく空気マットレスをポンプで膨らまそうと思ったが、なんと差込口のサイズが合わない。。 こちらは断念して今度は寝袋を袋から取り出すと、なんと今度は寝袋とは違うものが出てきた。 何やらマットのような物であった。実はこれ、海水浴場で砂浜の上に敷く薄型マットレスであった。 とんだ間違いをしてしまったが、怪我の功名!薄型ではあるがないよりはずっといい。 11月で寒かったため、着ていた上着と上記の敷物を掛布団代わりにして一日目の夜を乗り切る。 次の日は午前中の仕事を終えてすぐにお店に駆け込み、電動式ポンプを購入。掛布団は友人に借りる事ができ、 事なきを得る。結局ここの家には1年半住む事になるのだが、実はこのマンション、 ドイツ唯一の芸術家財団Marie-Seebach-Stiftung所有の建物だったのである。

Marie-Seebachはワイマール国民劇場で俳優(Schauspielerin)として活躍した方で、 芸術家が老後に安心して生活できるように財団を設立し、芸術家のための老人ホームを整備したのでした。 ですから、私が住んだマンションの周辺に財団所有の老人ホームが数棟あり、唯一このマンションだけが、 現役の芸術家向けに安く貸し出されたものでした。 このような財団はイタリアの大作曲家ヴェルディが設立した、 その名もヴェルディという財団が有名ですが、ドイツ唯一の芸術家財団がワイマールにあり、 ドイツ中から引退した芸術家がここに集まっている事はあまり知られていません。 そしてそれぞれの財団に共通する理念は、経済的に恵まれない芸術家を支援する事なのです。


ワイマールの住まい、由緒あるマンションを背景に



ケンペルバーニー祭 参加


会員 大澤 由美子


記念碑の前で 左端が大澤さん

天気予報通り、15日は朝から雨、風の荒れ模様。 途中で、電車が止まるのではないかとドキドキしながら小田原へ。

小田原駅改札口で、「ケンペルが馬に乗り箱根の杉並木を行く姿とそれを眺めるバーニーらしき人物が描かれている」 幟と会員の関口氏、中村氏に迎えられ、三谷副会長、長谷川氏、中嶋氏と共に箱根に向かう。

傘もさせない風と雨の中をびしょ濡れになりながら箱根公民館に向かう。 この天候のため、第1部の碑前祭が箱根公民館で行われることになった。 式場の正面にはケンペル・バーニーの顕彰碑のほぼ実物大と思われる写真が貼られている。 式典の御多分に漏れず来賓の祝辞が続いたが,今年はバーニーの孫夫妻が参列され、アレキサンドラ・マナース夫人から祝辞があった。

バーニーが建てた碑文の思いを受け継ぎ箱根の自然保護活動をしているケンペル・バーニー会が100年近く経ってもバーニーの子孫との関りを大切にしていることに感激した。 第1部の締めくくりは、地元の小学生たちの楽器伴奏で「箱根八里」を歌う。
箱根八里を大声で歌ったせいか雨に濡れ鬱々していた気持ちが晴れる。

第2部は講演会
講演は東海大学海洋学部 土井航氏の「ケンペルが見たタカアシガニ」であった。

1600年代に来日したケンペルが江戸参府の途中(静岡市興津付近)で見たタカアシガニを「シマガニ」 として著書『日本誌』に記述している。 このカニは岩手県から台湾までの太平洋西部の水深30m〜650mの海底に分布しているが、 数が多いのは相模湾、駿河湾、土佐湾で 他の海域では珍しいのだそうだ。 大きいものでは、両足を伸ばすと4mちかくあるそうだ。

そのほぼ100年後に来日したシーボルトは尊敬するケンペルが見つけたタカアシガニを 標本にしてオランダに持ち帰った。 持ち帰った標本からタカアシガニが新種であるとされた。

現在ではMacrocheira kaempferiという学名が付いている。 Macrocheiraは「巨大なはさみ」を意味する属名であり、 種小名のKaempferiはケンペルへの献名だそうである。

大正時代までは水揚げされても見向きもされなかったが、 最近は沼津あたりの食堂で名物料理として売り出されている。

第3部は懇親会、いよいよ、ワカサギとのご対面。 芦ノ湖のワカサギは大正7年に種卵を霞ケ浦から移植したものだそうだ。 高度成長期に温泉街から垂れ流される下水により湖の汚染は深刻となるが、 下水処理施設の整備により2000年代には10mまでの透明度が復活した。 時を同じくして、ワカサギの「芦ノ湖水槽内自然産卵法」が確立され、 沢山のおいしいワカサギが獲れるようになった。

懇親会のテーブルには、ワカサギのフライ、天ぷら、唐揚げの3種類がならんだ。 会の女性会員の方々が手作りしてくれたものである。 私はワカサギの目鼻立ちがはっきりわかる唐揚げが気に入った。 会員の方が注いで下さるお酒と会員の方が教えてくださるワカサギの話を 楽しむことができたひと時だった。

昼過ぎには青空がのぞく。式典終了後、6人で泥濘の道をケンぺル・バーニーの顕彰碑まで行き、 黙祷を捧げ帰路についた。(会員の関口様、中村様には、朝早くから、1日、あれこれお世話いただきありがとうございました。)




「モース博士と江の島」



「モース博士と江の島」藤沢市史ブックレット9

湘南日独協会の顧問吉田克彦氏は長年モース博士の研究をしておられます。 この度藤沢市の依頼により掲題のブックレットが藤沢市文書館より出版されました。

江の島を中心にしたモース博士の業績とともに、当時の近辺の歴史や生活、 またモース記念碑の設置経緯などが詳しく書かれています。 藤沢文書館及び藤沢市役所で取り扱っています。定価800円。


Deutsche Witze

これまでのDeutsche Witzeは、こちら からご覧頂けます

„Wird die Operation sehr teuer?“ fragt der Patient. Der Arzt lächelt. „Dieses Problem können Sie getrost Ihren Erben überlassen.“

「手術はうんとお金がかかりますか?」患者が訊いた。医者、微笑みながら曰く、 「あゝ、その問題ならあなたの跡取りの方に安心してお任せなさい。」
GKK

20-3-118-2018-05-13



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