今宵ひとたびのワイマール

青山陽子



ワイマール市長と右より古池さん、青山さん、小林さん


 ワイマールの皆さんに間もなく再会できると胸を弾ませながら、藤沢駅を降り立ち見慣れた街並みを進むと、シンデレラ城のごとく輝く湘南クリスタルホテルが目に入った。会場でバウハウスさんをはじめワイマール独日協会の皆さんの懐かしいお姿を見つけた瞬間、あのワイマールの夏にタイムスリップした。
 深く広がる美しい森と数々の歴史文化を物語る荘厳な建築物。街中では、カフェで市民が語り合う。初老の紳士から「鎌倉から来たのですか」と優しく話しかけられる。歴史と伝統の重みが伝わってくる街並みの中でゆったりと時が流れる。
 気づけば歓迎会はヴェアテルンドイツ大使、ヴォルフワイマール市長の祝辞へと続いていた。両閣下のスピーチは、ワイマールの正の遺産に加えて忘れてはならない負の遺産についても丹念に掘り下げられ、歴史を共通認識し二度と過った道に進んではならない、よりよき時代を自らがつくっていくという強い意志を感じさせるものであった。
 ワイマール訪問を企画したとき、ワイマールの誇るべき正の遺産を辿り、楽しい滞在にすることが、双方の思いに適うと考え、ブーヘンワルト収容所を訪問地から外した自分を悔いた。
 会場はバウハウスさんの鴎外の文学から引用したスピリチュアルなスピーチへ続いている。確かに私はワイマールの地でそうしたドイツの気風を味わった。2011年8月のことだ。そのとき参加した中高生たちは、たくましく成長して、この訪問を機にドイツ留学を経験する、国際社会を射程にした進路に進む、鎌倉の地域ボランティアに参加するなど、国際社会にさらに目を向けるとともに日本の状況や文化についてもあらためて深く考えるようになったと語る。
 私たち公務員は、ルーティン業務に追われる中、時には立ち止まって、一人でも多くの市民をいかに幸福にできるか、そして幸福とは何かを考え、職務に当たっている。しかし、現実にはすぐに効果の得られるものばかりではなく、熟考した結果が思う方向に進まない場合もある。そのような中で、生徒の皆さんから目に見える結果を頂けたことは望外の喜びである。
 このたびの両市民の橋渡しにご尽力くださった湘南日独協会・ワイマール独日協会の皆様にあらためて感謝しつつ、ワイマール市民と夢の再会を果たした会場を後にした。




独日協会歓迎会に出席して

古池美慧


 ワイマールの訪問から早いもので3年が経ちましたが、今回このような素晴らしい歓迎会にご招待いただき、湘南日独協会の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとうございました。
 3年前の訪問から帰ってきた後もホームステイ先のカオリンさんと文通やメールのやり取りをしていたり、ドイツへ一緒に行った友達とも会ったりしていました。いつかまたドイツに行って、お世話になった方々に会いに行こうと話していましたが、まさか日本で再会できるとは思っていなかったので、天にも昇るような嬉しい気持ちでいっぱいになりました。会場では会員の皆様がとても気さくに話しかけてくださり、楽しい時間を過ごすことができました。また駐日ドイツ大使とお話をする機会があり、貴重なお話をすることができて有意義でした。
 3年前の訪問後、私は自国の文化を理解することの重要性について考えさせられました。そして、今回のワイマールの方々の来日から私たち一人ひとりがどのように外国人をおもてなしするかということを考えさせられました。
 会員の方々がドイツ語の歌を歌っていらっしゃるのを拝見し、素敵なおもてなしだなと思って見ていました。2020年には東京オリンピックが開催される予定で、日本のおもてなしが注目されています。私自身も素敵なおもてなしができるように、また少しでもドイツと日本との架け橋になれるようにと努力していきたいと思います。


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