1月例会 講演会
「日本の原子力発電のもう一つの道」報告
会員 三谷 喜朗
講師近藤英樹氏は昭和36年東大工学部機械工学科を卒業、風水力機械メーカーの荏原製作所に奉職、
爾来風力機械の設計、開発、研究一筋、現在は近藤技術事務所を開設、機械学会をはじめとして多くの関連分野で
活躍中の私の友人です。当日は総計14頁にわたる資料が配布されましたが、私なりに抜粋して次記の如くご報告させて頂きます。
原発には幅広い分野に多くの問題点が存在し、それを検討するに必要な観点としては
次のような項目を重要6項目として挙げられた。
@ 科学・技術的
A エネルギー・環境・資源・経済的
B 設置される自治体、市民、それに伴う政治的
C 歴史的
D 外国との関係、国際的
E 短期的な 又は 長期的
続いて、現在の原発の問題点を氏の経験を基に具体的な14項目の事例をもって語られた。
そのうちの最も重要と私なりに拾い挙げさせて頂いたのが次の項目ではないかと思います。
1)ウランを使わない原子炉があった!
軽水炉との競争に敗れたトリウム原子炉がその安全性を見直され、
NPO法人"トリウム溶融塩国際フォーラム"が活躍して時代の要請に応えるべく努力をしている。
2)原発のコスト
メルトダウン・水素爆発は軽水炉特有の現象でそれに対応するコストを考慮すれば、
技術的に問題の解決見通しのあるトリウム原発の方が良いと思われる。
3)原発廃止を宣言したドイツと日本の行き方
ドイツは風力、太陽光、バイオ等による再生エネルギーの稼働率、維持管理費などによる
電力代の高騰に悩まされ、一方日本ではそれを学び現在原発による電力を20〜24%位とし、
再生エネルギーによる電力を抑え気味に考えている。
目下"日独エネルギー変革協議会"を発足させて共同研究が行われて居る。
4)もんじゅ廃炉の問題点
何れにしても高速炉への道でありトイレ無きマンション(原爆の材料ともなりうる
プルトニウムが溜まり続ける)は逃れられない。
5)まとめでは 日本は地震、火山と言う機械・電気・建築・土木にとっては想定以外、
想定以上の問題がある、つまり、官民一致して新しい技術のメリットを享受し
技術を引き継ぐ人材を育て数十年後の我々の次の世代のエネルギー問題に備える事が
肝要だと 結ばれて居られました。
以上、私の頭の中に残った問題点を整理して見たが 最後に残る言葉は
<医学的な盲腸手術が行われる前まではキニーネに頼って痛みを堪えさせるしかない
方法から手術の方法が確立するまで10年掛かったと言う事の如く必ず「良いもの」は
いずれ採用される。>でした。
異論は色々有ることと存じます。私は福島事故直後トリウム原子炉・・・・と言う
二ユースが巷間伺えていたのが最近はさっぱり聞こえなくなったなと思っていましたが、
昨年の湘南日独協会オクトバーフェストに参加頂いた折
今はトリウム原子炉開発の国際会議で応援団長をしていると伺いこれは皆さんに
一度聞いて頂きたいと願って今日の講演会となった次第です。
当日の講演会には女性参会者が多く関心の深さに感激の思いでした。
講師の近藤秀樹氏
講演会後の懇親会の様子