映画『菩提樹』を観て

会員 上原勲


 湘南日独協会で、映画『菩提樹』『続・菩提樹』の2本を観る機会に恵まれました。ご存知、オーストリアのトラップファミリーの物語です。
 最初の『菩提樹』は有名なサウンド・オブ・ミュージックの映画とほぼ同じストーリーです。続編は一家がドイツのナチの手を逃れて亡命したアメリカでの 苦闘の物語です。サウンド・オブ・ミュージックは今までに5〜6回は観ており、歌の数々は憶えたものです。
 映画の主人公は一見、元見習い修道女であったマリアのようですが、どうして元軍人で一家の主のトラップ大佐と美しい歌声の7人の子供たちもそれぞれ重要な主人公です。
 実は小生は青年時代にドイツ語の映画で『野ばら』を観たことがあります。ウィーン少年合唱団の映画でしたが、それ以後、Roslein auf der Heidenの歌を ドイツ語で憶えました。今回はアムゼル合唱団で練習している『菩提樹』が歌われると思われたのでそれは楽しみでした。それにしても子供たちの澄んだ歌声の 美しさには改めて心打たれました。この歌声はぜひ私の孫たちにも聞かせてあげたいものでした。
 印象的なのは『続・菩提樹』で、アメリカ移民局で受け入れ許可を不安げに待つ人々の中で子供たちが歌い、その美しい歌声に人々が心奪われ元気づけられる場面です。 さらにニューヨークの汚い安アパートで一家が食い詰めていたとき、子供たちが外で歌い出した歌声の美しさに酔っ払いの兵士や近所の人々が喜んで聞き惚れた場面。 いずれも曲の素晴らしさもさりながら、歌声とハーモニーの美しさに人々は力づけられたのです。これらの場面を見て私は、音楽や歌は神さまから人間に 賜った大きなプレゼントだと思いました。
 私は学生時代にウィーン少年合唱団の演奏会に行ったことがあります。オーストリアの歌曲はもとより日本の『さくら、さくら』まで歌いましたが、 『ウィーンの森の物語』の曲になると俄然目を輝かせ、まるで「私たちが愛し、誇る街の歌を聴いてくれ」と言わんばかりに嬉しそうに歌っていた様子を ありありと思い出しました。ドイツやオーストリアの美しい歌は日本でもたくさん知られています。スイスにはヨーデル曲もあります。ヨーデルはちょっと無理ですが、 小生もせっかくアムゼル合唱団に加えていただいたのですから、今年はもっと多くの曲をものにして多くの人々に聴いていただき、生きる喜びを感じていただけるように 団員の方々と共にがんばりたいと思いました。


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