冬のニューヨーク

会員 佐合千佳子(在ニューヨーク)



ブリューゲルの絵



 ニューヨークで暮らし始め3度目の冬を迎えた。
 12月に入り、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーがスワロフスキーのクリスタルで飾られ、3万個のLEDでライトアップされると、ニューヨークの街は俄かにクリスマスムードで一杯になる。
 「34丁目の奇跡」の舞台にもなった老舗デパート“メイシーズ”のショーウインドーを始め、街角のあちこちらがクリスマスイルミネーションで美しく彩られ、一年中で一番綺麗な季節となる。
 クリスマスシーズンの風物詩として有名なのがラジオシティーのクリスマススペタクルショー。そのハイライトがロケッツと呼ばれる粒ぞろいの女性ダンサーによるラインダンス。ダンサー達の美しくすらりと伸びた脚が高く上る度に、隣に座っている夫は鼻の下を長くして目は釘付けになっていた。
 ニューヨークシティーバレエの「くるみ割り人形」公演もとても素晴らしい。舞台上でみるみる高く聳え立え立っていく巨大クリスマスツリー、そして豪華な衣装に身を包んだバレエダンサー、暫しの間美しい夢物語の世界へ誘ってくれる。
 雪が降りしきるある日、セントラルパークの敷地内に位置するメトロポリタン美術館へと足を運んだ。実は、「ピーテル・ブリューゲルは季節ごとの農民の生活を描いているが、その連作6点の内1点をメトロポリタン美術館が所蔵している」と耳にした事を思い出し、早速ヨーロッパ絵画のセレクションへ。案内図を見ながら探していたら・・・ありました!ブリューゲルの絵。『穀物の収穫』と題されたその絵は、黄金色の麦畑で刈り入れ作業をしている農民の姿が描かれている。展示室中央に置かれた椅子に腰を下ろし、暫く鑑賞。昼時になったのでその日は館内にあるセントラルパークを望めるレストランでランチ。真っ白に雪化粧された公園を窓から眺めながらローストチキンサラダを美味しく頂き、家路についた。


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