1月講演会「日独外交通訳の現場からーその楽しさと苦しさ」に参加して

会員 野一色朝一



新宿御苑にて筆者ご夫妻



 1月23日総会に先立ってベアーテ・フォン・デア・オステン女史(以下オステン女史とさせていただきます)の講演をお聞きし、心からの感動を覚えると共に、オステン女史の「知性と教養」の高さ、深さに驚嘆し、言葉もありませんでした。更に、表情や「手振り、身振り」(mit Haenden und Fuessen)、特に「手振り」の使い方は心理学の会得を深くうかがわせます。
 私事となり失礼しますが、私が協会に入会したのは一つは三田会の友人佐藤君(前橋)の紹介と共に、亡き父が、外交官(正規入省ではなく戦時通訳)で戦前イタリア・フランス・ドイツに勤務し、亡くなる昭和40年迄に、よく父から「翻訳・通訳」の話を聞いていたためと今はまったくダメになったドイツ語を高校、大学とやっていたのが、その理由であります。




講演するBeate von der Ostenドイツ大使館 通訳・翻訳部長



 さてオステン女史より、要人の通訳時のエピソードが細かいタッチで出ましたが、ポイントは上手く外し、固有名詞を避け、G8沖縄サミットの時のシュレイダー首相他2名程度しか話されなかったと思います。
 スピーカーの意思考えの伝え方を通訳以上の意訳をし、かつ「正しく伝える」難しさやオブラートをつけてしゃべる「外交」をどう通訳し、その「目的」を伝えるか等々、私達日本人以上に「完璧な」日本語での講演に、しばし時間のたつのをわすれたひとときでありました。
 スポーツや日常の健康管理、シンプルな服装等のお話がありましたが、最後に私はオステン女史の背後のドイツ外交、ドイツの国としてのその「能力の高さ」を思い、果たして我々が「日本国」の外交(外交官)、国力はこれからどうなっていくのかと、心底憂いを覚えたしだいであります。


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