5月の例会に出席して
「福島原発事故の現状と問題点」


会員 小田武司



小田武司氏


 福島原発事故が発生してから既に1年2カ月が経過しています。空気中や地表の放射線量や、食品に含まれる放射線量がしばしば話題となり、テレビなどでも原発に否定的な人が大幅に増えているように思われます。そのような環境で、今回の松野先生の講演は専門的な知識と情報に基づき、且つ具体的な数値に基づく内容で、現実的な対応をしていくために非常に役立ったと思います。「放射線なんか自然界にいくらでもあるから、少しぐらい余計に浴びたって平気だ!」という無謀豪胆型反応も良くありませんが、「放射線は極微量でも恐い!食品汚染が基準値以下なら大丈夫というのは以ての外、1ベクレルでも許せない!」という完全潔癖型反応も間違いで、「確かな知識をもって理性的かつ合理的に恐がること!」ということが非常に重要であるとのご意見に大賛成です。このような説明を一般の人々、特に完全潔癖型の方々に説明される機会がもっとあれば、風評被害にしてももっと鎮めることができるのではないでしょうか。




講演会会場


 今後のエネルギー政策についても言及されました。福島原発事故発生後の対応をテレビや新聞でみておりますと、あまりにも技術的に不可解なことや、理解し難い説明があちこちにありました。それが何によっていたのか、今回の講演でほぼ分かったように思います。
 松野先生のお話のように、これからの方向は「脱原発を計画的に進める」か、「全原発の即時停止」かの選択になでしょうが、全原発を直ちに停止して、電力不足に陥ってしまったり、電力料金が大幅に値上げされたりするのでは、現在既に過度に進んでいる製造業の海外移転を一層推し進めることとなり、産業空洞化と雇用の減少など、更なる問題を引き起こしかねません。
 ただ、脱原発を計画的に進めるためには、限定された原発を再稼働することになりますが、当然のことですが福島原発の教訓をフルに活かして、自然災害に対する万全の対策が早急に講じられるべきだと思います。絶対に同じ過ちは繰り返さないという確固たる信念をもって、この問題に当たるべきだと思います。今回の件で被害が広域に渡ることがはっきりしましたから、再稼働に当たっては、政府はその広域の住民がそれを受け入れられるような万全の対策を講じるべきであり、またその内容を分かり易く説明すべきだと思います。
 難しい課題にもかかわらず。松野先生の非常に分かり易いご説明でしたので、参加された方々も講演会後の懇親会ではすっかり和やかに談笑なさっていたように思います。このような講演会を開催していただき、誠にありがとうございました。


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