1月例会映画会
「未完成交響楽」を鑑賞して


会員 大倉薫



大倉薫氏


 1月27日(日)、楽しい解説と共に映画「未完成交響楽」鑑賞会がありました。
 いろんなクラシックの作曲家について深く知識もないでのすが、シューベルトはよく聴く好きな作曲家で、歌曲などは心が温まります。
 映画の始まりでいきなりギターを質屋に入れるシーンがあり、音楽家にとって楽器を質に入れるほどホントに貧乏していたようなのですね。以前、ウィーン旅行の折に「シューベルトの家」を見学し、何も無い住まいを思い出しました。
 当時の田園風景や背景、あの中で育まれたのかと思うような映画全体に流れるシューベルトの美しい曲、時々場面にのぞくユーモアなど、映画の中にどっぷりと浸かっていました。あるシーンでいきなり、恋のお相手が美しいソプラノでセレナーデを歌った時は、映画の中での現実離れしたことと思いながらも、とてもステキでした。
 シューベルトはもてるタイプの男性ではなかったらしいですが、彼を慕う質屋の娘さんは良き協力者でした。彼は気のある素振りを見せながら、でも他の女性に心を奪われてしまいます。たった31歳で逝った若き日のシューベルトのロマンスが伺えます。いろんな音楽を聴くようになってから想像する彼の抽象的な人となりは、シューベルトに扮した俳優(ハンス・ヤーライ)により私の中で少しカッコよく具体化されたようです。
 広い田園の中の小さな祠のマリア像、それを見ながらの「アヴェ・マリア」が流れるラストシーンはとても印象に残りました。趣味で楽器を弾いていますが「アヴェ・マリア」を演奏する度にあのマリア像が思いだされることと思います。
 「未完成交響曲」と命名された理由は諸説あることを伺いましたが、願わくば「わが恋の成らざるが如く、この曲もまた未完成なり」の映画の余韻のままであって欲しいと思いました。




映画会で西澤講師の解説を聞く会場


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