「フォルクス・ワーゲンとポルシェ 二家系の抗争と買収劇」
の講演を聴いて


会員 中嶋照夫



中嶋氏


 私は、自動車に昔ほど興味がなくなっているが、ドイツのBMW、Audi、Mercedes Benz、Volkswagen、Porscheはどれも世界的に知名度が高く興味深い車である。そのVolkswagen、Porscheの2メーカーについての講演に夢中になった。
 話は初代Ferdinand Porscheから。彼は1966年カブトムシKaeferの(フォルクスワーゲン:以下VWと略す)を設計、スポーツカーで有名なPorsche AGを創設した。彼の子供には息子と娘の2人がいて子供が20歳になった時にポルシェ家の息子にポルシェの自動車開発及び製造会社を、娘の嫁ぎ先であるピエリ家にポルシェの販売会社を、両家系50:50の遺産分与行った所から始まる。ポルシェ家とピエリ家は仲が悪く、現在のポルシェ家のWolfgang(代表)は紳士的(貴族的)であるが、一方現在のピエリ家のFerdinand(ケーヒ:代表)は幼少から20歳まで寄宿舎生活で(自由で個性的なシュタイナー教育)で育ち、野武士的である。教育環境の違いもあるが同族代表である2人は仲が悪く、もう第三世代、第四世代であるが、まだその仲の悪さは続いている。
 車の話ではポルシェの911型に代表される高級スポーツ車の原型である64型、356型の初めてモデルチェンジとして901をフランクフルトモーターショーで展示し、1964年ルマン24時間耐久レースで優勝して一躍有名になった。エンジンの設計をしたピラリ家のフエヒは自信を深めた。
 時代は遡り、ヒトラーの話が出てくる。車好きのヒトラーは、おりしもニューヨークで株が暴落し、銀行が倒産した世界的な恐慌(1933年頃)の時に、600万人の失業対策として、VWの工場建設を推奨して雇用を増やした。また同時にアウトバーンも建設した。ヒトラーがVWを造ったといわれる由縁である。(ヒトラーの話はこの位で!)
 ポルシェは近年トヨタの生産ラインを取り入れて非常に利益率のよい会社となったが、ふんだんな資金が、皮肉な事にPorscheの不幸の始まりとなった。VWは労働組合が強いことから人件費率が異常に高く利益率の悪い会社となった。2005年にポルシェがVWの株式を取得し持ち株比率を50.78%としVWがポルシェの傘下に入る形となるところが、子会社化する直前に、2008年のリーマンショツクの影響によりポルシェは2009年に経営難に陥いる。VW買収のために借りた巨額の有利子負債の返済に困り、ついにポルシェはVW側から提案された経営統合に応じざるを得なくなったわけです。
 ポルシェによるVW買収劇が思わぬクライマックスを迎えた。ポルシェが攻勢をかけてきた初期は防御に専念、敵の補給が切れて攻撃がストップして瞬間に攻勢に出る戦術は今の時代も!




吉森氏





懇親会




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