湘南日独協会会報 Der Wind

 VOL.22 NO.4 通巻 129
 発行 2020.09.13
 更新 2020.09.29

   

 連絡先

 TEL: 0466-26-3028
 FAX: 0466-27-5091
 Mail:
 jdgshonan.official@gmail.com
   

 ご案内

 湘南アカデミアの地図
 〒251-0025
 藤沢市鵠沼石上1-1-1
  江ノ電第2ビル7F
   
当協会顧問、吉田 克彦氏 ご逝去のお知らせ


当協会の顧問をされ、多くのご貢献、ご協力頂いておりました
 吉田 克彦氏が、9月23日に逝去されました
ご冥福をお祈り申し上げます

既に、9月27日にご親族で、葬儀等はすでに終えられています

湘南日独協会では、
 「吉田克彦顧問を偲ぶ会」
を、下記の通り、開催いたします

日時:2020年11月29日(日) 14:00〜15:30
会場:湘南アカデミア 江ノ電第 2ビル 7F
   なお、会場内の密集を避けるため、入場頂く人数を制限する可能性があります


私の引き籠り生活

湘南日独協会会長 松野 義明

湘南日独協会の事業の一つとして、昨年半ばごろから「ドイツ文学を原語で楽しむ読書会」 を始めようという話が持ち上がり、色々準備してまいりましたが、参加者の皆様のご協力のお陰で、 予定通り昨年10月にスタートできる運びとなりました。月2回のペースで、Hermann Hesseの“Demian”を、 今年の2月までは順調に読み進めてきたのですが、 このころから新型コロナヴィールスの感染者数増加傾向が顕著となり、緊急事態宣言も発令されなしたので、 開店休業状態に入りました。

此処までお読みになった方は、「気の毒に、読書会ってなんて運が悪いのだろう…」とお考えかもしれません。 私も、実は、「折角、始めたのに、なんて運が悪いのだろう、幸先がよくないなあ!Demianを早く終わって、 次の本に進めたらいいのになあ!」と嘆いおりました。 しかし、毎日、外出自粛を強いられ、自室での引き籠り状態に徐々に慣れてくると、ふと、 自分の今までの読書態度について深く反省しなければならないことに気が付きました。

典型的な日本人である私は、現役時代から、自分の忙しさ(せかせかとした生活)に 幸福感と満足感を感ずるばかりではなく、時々、 「お忙しくて結構ですね!」などと言って他人の忙しさまで祝福する始末でした。 すると、その他人は「ありがとうございます、おかげさまで、忙しくしております…。」などと、 お礼と感謝の言葉まで返してくれます。

そういうせかせか人間の私は、一冊の本を読み始めると、一刻も早くその本を読み終えて、 次の本に進みたいという強迫観念に捕らわれます。 特に、外国語の本や、日本語の本でも、上・中・下構成の長編作品など、時間のかかるものを読み始めると、 特にその傾向が強く現れます。

そうすると、中身を吟味し、深く味わうことは二の次で、いち早く読み終えることを最優先に考えてしまうという、 いつもの私の最悪の読書パターンに陥るのです。 さらに悪いことに、このようにして読んだことを(ちゃんと読んでもいないのに)、 あれも読んだ、これも読んだ…という私の一人よがりの自己満足に浸るという最悪の事態に陥るのです。

この悪癖から私を救いだしたのは、ほかならぬコロナ禍による引き籠り生活でした。 引き籠りが始まって、毎日潤沢に時間があるというのに、Demianを、例によって、 せかせかと読んでいました。しかし、潤沢に時間があるという安心感からか、次第に、 登場人物の心の動きが見えてきて、その心の動きと同じテンポで、 一つ一つの言葉の意味を深く味えるようになり、今までよく見えなかった世界が、 おぼろげながら、見えるようになってきたのです。知らず知らずのうちに引き込まれ、 特に最終章などは、あまり速く読むとすぐに終わってしまうので、 それが悲しくて、勿体なくて、わざとゆっくり、読み進めるようになってきたのです。 それは美しい宝石を掌に載せて、コロコロと転がしながら、 あらゆる角度から味わい尽くすような感じでした。この傾向は、他の本を読むときにも広がり、 ゆっくり時間をかけて深く味わいながら楽しむことができるようになりました。

もしコロナ問題が起こらず、今まで通りの生活パターンであったならば、 私はおそらく、今までと同じように、せかせかとDemianを読み進め、読み終わる前から、 次は何を読もうかと、忙しく頭を捻っていたことでしょう。

COVID-19のパンデミックは、全世界の人類に健康上の恐怖ばかりか、 経済活動にも深刻な悪影響をもたらしています。 しかも、この状態はかなり長期化する可能性もあります。それに伴って、我々人間が、 今まで慣れ親しんできた生活のパターンを変更せざるを得ないことも多々あるでしょう。 その変更の結果、今までの生活パターンが乱れて、不便を感じたり、 イライラを感じたりする一方、生活パターンが今までより合理的になったというプラスの面も たくさんあると思います。このプラスの面をじっくりと見つめ直して、 内的な精神生活を豊かにしていくとともに、今までとは異質な新しい幸福観を自分のために開発していこうという意欲を感ずると、 胸がワクワクするではありませんか。

お前は超後期高齢者だから、そんなに能天気な戯言をほざいていられるんだ! という声がどこからか聞こえてくるような気がしますが、 それでも、毎朝、起きた時に感ずるワクワク感はどうすることもできません。

湘南日独協会といたしましては、今年度後半も、ドイツ語講座の運営を始め、 各種講演会の実施、混声合唱団の活動、など、コロナ禍との合理的かつ安全な共存を目指して、 工夫してまいる所存であります。会員各位の積極的なご指導、ご鞭撻を期待しております。


例会の再開に向けて

湘南日独協会副会長 勝亦 正安

昨年12月に中国の武漢市でヴィールス性肺炎発症が確認されたことを発端とした新型コロナヴィールスは、 世界中で、個人にも社会にも大きな禍をもたらし、世界保健機関WHOは3月にパンデミックを宣言しました。

日本では、1月に日本人の感染が初めて確認され、2月には、 横浜港に入港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で乗客の感染が相次ぎ、 3月以降、都市部を中心に患者が急増、4月に政府は緊急事態宣言を発令しました。 5月に同宣言は解除されましたが、現在もなお感染者増加に歯止めが掛かりません。

こうした状況下、わが湘南日独協会の様々な活動も、コロナ禍の影響を受け、残念ながら、 殆どが2月以降中止、ないし延期やむ無きに至りました。

例会については、1月、東大大学院教授、五百旗頭薫氏講演会「戦前日独の競合と協調の歴史」は開催されましたが、 2月ドイツ大使館首席公使Dr.K.フィーツエ講演会「壁崩壊後のドイツ30年」はコロナ急拡大の下急遽中止としました。 その後も、3月会員槇卓氏、5月ドイツ大使館付き武官K.キーゼヴェッター氏、6月明治大学教授H.メンクハウス氏、 7月東京日独協会会員高橋忠夫氏等の講演会が相次ぎ中止、乃至延期となりました。 この間、4月開催予定の年次総会は5月に延期され、且つ例年と異なり、書面による総会となりましたことはご承知の通りです。

最近、プロ野球やサッカーリーグも、観客制限等の条件付きながら、 再開されております。こうした状況を考慮し、また、再開を求める会員の声も多く寄せられた事から、 マスク着用、空気入れ替え、身体間距離確保等安全対策を講ずることを前提に、 例会の9月以降再開を決定しました。読書会は既に7月に開始されており、 談話室SASも時期は未定ですが、近々再開されることでしょう。

9月例会は会員下條泰生氏、10月は7月予定が延期された高橋忠夫氏、 11月はドイツ語講師中川純子氏等の講演会開催が決まりました。 但し、コロナの動向により急なスケジュール変更が起りえます。その場合は、遅滞なく皆様にお知らせします。

2021年は、コロナ禍収束も期待されますので、本年中止を余儀なくされた例会の復活 (すべてではありませんが)に加え、ドイツ日本研究所副所長Dr.B.ホルツス氏等新講師による講演会、 コンサート、或いは野外遠足等を企画しています。皆様も、見たい、聴きたい、参加したい行事のご希望等あれば、 是非、お聞かせ願います。また、協会に関心のある知人、友人、特に若い方をご存じであれば、 入会をお誘い頂ければ幸いです。

       
9月            10月           11月
講師の皆さん


11月29日講演会中止のお知らせ

予定していました中川純子先生による講演会「ドイツ語発音超入門(仮題)」を、新型コロナの情勢に鑑み、 マスク無しでご講演頂けるまで、当分の間延期することと致します。
再開の時期が到来しましたら、改めてお知らせします。

延期の理由は、
ご講演の中心となるドイツ語の音韻学的な現象をご理解頂くために、講師の発声・発音を、 参加者皆様にも実際に試みて頂く必要があるため、通常の講演会の場合と異なり、マスクを着用したまま講演を実施することが 難しいと判断した次第です。


2020年オクトーバーフェスト中止のお知らせ

担当理事 鬼久保 洋治

毎年恒例の湘南オクトーバーフェストは昨年と同じ会場藤沢市民会館第一展示ホール(10月11日) での開催を準備してきましたがコロナ感染対策の現状から中止の決断をさせていただきました、 開催を心待ちしていただいた皆様には申し訳ありませんが 今般のコロナ事情を考えご理解くださいますようご連絡申し上げます。 エーデルワイストリオ、アムゼル合唱団の演奏、 合唱を楽しみにしていただいた皆様には一日も早い再開ができることを祈ります。 オンライン飲み会、オクトーバーフェストなど準備している演奏グループもありますので 10月11日はオンラインで楽しまれるのも一つの方法かと思います。 日頃の日独協会の活動に協力いただいている皆様に感謝申し上げます。


インターネットでのドイツ語講座

ドイツ語講座からのお知らせ     
 ドイツ語講座では、新型コロナウィルスの感染状況を鑑み、来期(2020年10月〜2021年3月)を
 オンライン講座とすることにいたしました。
 従来の講座形式をご希望の皆様には、大変申し訳なく思っております。
 何卒ご理解を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
 なお、今回はオンラインならではの3講座が加わりました。
                              2020年8月21日

  詳しくは、こちらをご覧下さい


ドイツ語オンライン講座の様子


フリース先生の会話講座

ドイツ語講座は、2020年度春夏期をオンライン授業としました。

4月半ば、講師の中川先生から大学の授業のオンライン化の取り組みをふまえて、 オンライン授業のご提案をいただいたとき、その経験がなかった講座担当は、 すぐには切り替えの決断がつきかねました。 大学生とドイツ語講座受講生とでは違うのではないか、との危惧もありました。 しかし、この状況下での対面授業は不可能であるとの認識から、今期のオンライン授業を決定しました。 決定後、政府の緊急事態宣言が延長され、会場としてきたミナパークへの立ち入り不可能となって、 変更は良かったと改めて感じました。4月27日、4月30日にはラインとズームによる「お試し」を実施しました。

オンラインによる語学学習は、受講生が自宅を始め、どこからでも参加できることに加え、 講師と受講生の個々の対話が緊密に行えること、 またテキスト等も必要に応じて身近な画面で確認できるなど、 実際に行ってみれば、学びやすい形態であることがわかります。 対面授業では、白板に書かれた文字を見るときに、 人によっては眼鏡が要りますが、それが目の前のパソコンやスマホに表示されます。 必要事項や質問を後からメールで確認できる利点もあります。

講座内容:
  中川講師「文法」「新聞講読」 15回
  フリース講師「初級会話」「中級会話」15回

今期は、便利な回数割を適用し、いつからでもご参加いただけるようにいたしました。
また、各クラス間の往来自由など、受講生のご要望に沿う形としています。


 募集
 湘南日独協会 会員募集中

  湘南日独協会では、会員を募集しています
   入会申込書(PDF版)を、 こちらからダウンロード、印刷、ご記入の上、協会まで送付下さい
  もしくは
   入会申込書(Excel版)を、 こちらからダウンロードし、
   エクセルで開き「編集を有効にする」「コンテンツの有効化」にして、必要事項をご記入頂き、
   保存の上、 こちらから、協会宛のメールに添付し、送付下さい

 ドイツ語講座の受講生募集中

   湘南日独協会では、ドイツ語講座を開講し、受講生を募集しています
   詳しくは、 こちらをご覧下さい

 合唱団アムゼルの団員募集   歌う楽しみをご一緒に

合唱団アムゼルは創立17年、ドイツの歌・日本の歌を主にドイツ語で歌っています。 来年、春には18周年記念コンサートを、秋にはドイツの合唱祭参加も検討しています。 毎年藤沢の合唱祭、湘南オクトーバーフェスト出演しています。 良く知られた「野ばら」「ローレライ」から「美しく青きドナウ」「婚礼の合唱」「ビヤ樽ポルカ」等、 日本の歌では「浜辺の歌」「荒城の月」など、 クラッシックから映画音楽まで幅広く歌っています。 指揮指導は、ドイツのオペラハウスで活躍されておられた梶井智子先生、 ピアノ伴奏は内海祥子先生、ドイツ語の指導は団員のドイツ出身の志賀リンデさんです。

アムゼルのページは、 こちらをご覧下さい
これまでの演奏会、現在の練習の様子等を音源付きで見ること聴くことが出来ます。


練習は
 毎月第1と第3水曜日(第5も可能性あり)
 午後1時30分より3時30分
会場は
 カトリック藤沢教会(藤沢駅より徒歩8分)
問合せ
 理事 水谷妙子(045-895-6845)

理事 大久保 明


 SAS:おしゃべりの部屋 参加者募集   お待ちしています

談話室SASとは?
Schwätzerei(おしゃべり) Am(で) Stammtisch(常連客の席)、ドイツで広く知れ渡っている文化。親睦を深める会。自由なトークと情報交換の場。

実際?
令和2年最初の談話会は、本を読む楽しみ。 ダイヤモンド著の銃・病原菌・鉄、石川九楊の自伝図録の書及び漢字の大切さ、 カナダの日系2世のジョイオガワの波乱の人生、 AI研究者による女性脳と男性脳の違い、今までの人生で知らなかったことばかり。 単なる知識ではなく実際に遭遇し対応が求められるスキルや思想に触れる良い機会。

第二回は、詩や小説を声を出して読む楽しみ(朗読)。落語や講談は聞いて楽しむもの。声を出して詩や小説を朗読するとより楽しい。 好みの曲を感情を込めて歌うカラオケの如く。ハイネの詩ローレライを朗読。ドイツ語と日本語での朗読はSASで初めての試み。 昨年は、新元号、原子力安全神話、日独のことわざ、舞姫・森鴎外・ナウマン象、 ドイツにおける破壊的創造、食材は同じでも異なる料理、手書きドイツ文字、バイロイト祝祭音楽祭 等。

これからも生活や人生の楽しみに直結するトークで参加しやすい場にしたいと思います。

参加方法?
会報に開催日を掲載。e-mail addressを示され今まで参加され方へ一週間前にe-mailで連絡。
8月と12月は休み、月1回午後3時から5時まで
ミナパークの会議室(12名まで)
5時から居酒屋、ドイツ人との会話も可能
参加費は1000円、資料作成費は自己申告精算、聞くだけの参加も可能。

SASの部屋


理事 吉村 邦博


 「ドイツ文学読書会」へのお誘い   Hermann Hesseを原文で

ドイツ文学を原語で楽しむ会「ドイツ文学読書会」は、昨年10月に、発足しました。 始めるにあたり、発案者の松野義明・湘南日独協会会長が 目標とした点が三つありました。

一つは、参加者の誰もが気兼ねなく話せる雰囲気であること。
二つめは、ひと言も発しない人がいない会であること。
三つめは、誰でも、いつからでも参加できるように、その時点までの日本語訳と要点の解説を常に準備しておくこと。

この三つを掲げ、果たして何人が集まるのか、どのように進めていけばよいのか、 すべてが手探りの状態での船出でしたが、その心配は開始早々、 嬉しい誤算であったと思い知ることになります。参加者それぞれが、 個性的かつ意欲的で、毎回刺激的な会話が飛び交う活発な会となったのです。

この会の素晴らしいところは、ドイツ文学読書会である以上、勿論、ドイツ語で書かれた文学を、 原語で読み進めるのですが、ドイツ語にさほど習熟していない参加者も、 十分、楽しく参加できるということです。一例をあげれば、 現在の課題図書であるヘルマン・ヘッセ『デミアン』で、 主人公の少年がリンゴを盗んだというほら話をでっちあげる場面で、 「リンゴは、罪の象徴として使われている」と旧約聖書に結びつけての発言者は、 輪読には不参加の、いわば聴講スタイルの方からでした。 こうした意見によって、作品の深い味わいに気付かされるのも、 ひとりでの読書とは違う読書会の楽しみであると感じる瞬間です。

現在の在籍者は17名。湘南日独協会を、 この読書会で初めて知ったという方も多くおられます。 人生経験も多様で、小説の細部への理解も各人各様。 しかも、発案者の当初の目標どおり、誰もが気兼ねなく発言するのです。 侃々諤々、毎回の楽しい雰囲気を、おわかりいただけるでしょうか。

本は、一人で読むもの。しかし大勢で読んでそれについて話すのはそれに倍する喜びがある。 そう実感するのが「ドイツ文学読書会」です。ご興味をお持ち の方はいつからでもご参加いたけます。


理事 中村 茂子

 開催イベント
 詳しくは、こちらをご覧下さい
  湘南日独協会 催事カレンダー(2020年09月14日版)は、 こちら から、ご覧頂けます

 9月例会 
   9月27日(日) 講演会 ハイデッガーにみる“自然と人間” そして俳句
 10月例会 
   10月25日(日) 講演会 ドイツ文学の名作の楽しみ方あれこれ

 談話室SAS
   当分の間中止いたします

 読書会:ドイツ文学を原語で楽しむ会
   

   詳しくは、 こちらをご覧下さい

 会員の皆様へ
投稿のお願い
会員の皆さんの日頃のご活躍を会報でお知らせしたいと思います。 演奏会・展覧会・発表会・講演会等の予定をお知らせ下さい。
会報は季刊、3月、6月、9月、12月の第2日曜日発行予定です。 前月の中旬までにメール・郵便のいずれでも結構です。お待ちしています。

皆様へ、ご協力お手伝いのお願い
季刊の会報Der Windの発送作業を、原則、季刊3月、6月、9月、12月の第2日曜日、午前10時から行っています。
お手伝い頂ける方は、ご連絡頂ければと思っています。

年会費について
これまでに、会費を振り込み頂いた方でお名前の記載がない方が居られます。会の方へご連絡いただきたくお願いします。



 これまでの掲載記事
   (寄稿など)


  会員掲示板(これまでのホームページ掲載記録 - ältere Nummern)
  劇場便り
  マインツから
  Deutsche Witze
  私とドイツ
  皆様から寄せられた岩崎先生への追悼文



 これまでの活動


  

 2008年 2009年
 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
 2015年 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
 2020年度



 関連協会



 日独協会(JDG)

 〒160-0016 東京都新宿区信濃町18番地マヤ信濃町2番館
 受付時間:月〜金 10:00〜18:00
 TEL: 03-5368-2326 FAX: 03-5368-2065


 横浜日独協会(JDGY)

 〒223-0058 横浜市港北区新吉田東2-2-1-913
(事務局:能登)045-633-8717



 提携協会



 ワイマール独日協会

  Rainer-Maria-Rilke-Straße 10A, 99425 Weimar
   c/o : Peter Käckell
   E-mail : djg-weimar@t-online.de

湘南日独協会 開催行事の予定

  湘南日独協会 催事カレンダー(2020年09月14日版)は、 こちら から、ご覧頂けます

月例会

会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
   藤沢市鵠沼石上 1-1-1 江ノ電第2ビル 7階
   TEL 0466-26-3028

会場 藤沢商工会館(ミナパーク)
   〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢 607-1
   0466-27-8888 (代表)


9月例会 ハイデッガーにみる“自然と人間” そして俳句  

日時 2020年 9月 27日(日) 14:30〜16:00
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 下條 泰生氏
概要 20世紀を代表するドイツの哲学者ハイデッガー。その著「存在と時間」で自然と 
   人間の存在を論じ、「ことば」を“存在の宿”とする。17音字の最小の「ことば」
   で自然と人間を詠う俳句。例会では「存在と時間」を引用しつつ、自然と人間に隠
   れている真実という存在を社会現象そして俳句にみる試みとは…?!

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

10月例会 ドイツ文学の名作の楽しみ方あれこれ  

日時 2020年 10月 25日(日) 14:30〜16:00
会場 藤沢商工会館(ミナパーク) 3F 303会議室
講師 高橋 忠夫氏 東京日独協会会員
概要 講師は、15年前駐在員として働いていたシドニーの市民講座でドイツ語を受講し、
   ドイツ文学の面白さについて眼が開かれました。愛読書のトーマス・マンとシュテファン・
   ツヴァイクを読んで、聴いて、見て、味わい尽くすお話です。また、トーマス・マンの
   影響を受けた北杜夫についても言及します。作品のみならず、
   マンのブッテンブロークハウスとツヴァイクの博物館のお話も聞けると思われます。

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

11月例会 ドイツ語発音超入門(仮題)  中止(延期)します

日時 2020年 11月 29日(日) 14:30〜16:00
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 中川 純子氏 ドイツ語講師
概要 ドイツ語の発音ってどんな特徴を持っているの? ドイツ語を上手に発音したい!
   どこが間違っているのかわからないけれど、何かが違う。 ドイツ語発音の疑問の
   あれこれについて、日本語の音と比べながら考えていきます。
   発音は聞き手に与える印象にも大きく関わります。いろいろな発音を聞いて、
   その印象も比べてみてください。

会費 1,000円

懇親会 会場 未定


読書会

  ドイツ文学を原語で楽しむ会
   詳しくは、 こちらをご覧下さい

会費 1,000円
会場 ミナパーク 5階, 3階

    読書会の予定など、変更がある場合には、こちらでお知らせします
                           (2020/09/27 更新)
回数 月 日 会議室番号 時間帯
第16回 09/15 (火) 506会議室 15:00〜17:00
第17回 10/06 (火) 505会議室 15:00〜17:00
第18回 10/20 (火) 506会議室 15:00〜17:00
第19回 11/17 (火) 506会議室 15:00〜17:00
第20回 12/01 (火) 505会議室 15:00〜17:00
第21回 12/15 (火) 301会議室 15:00〜17:00
第22回 2021年  
01/19 (火)
505会議室 16:00〜18:00
第23回 02/02 (火) 505会議室 15:00〜17:00

談話室SAS

会費 1,000円

談話室SASについてのご紹介は、
こちらをご覧下さい


   当分の間、休会します

寄稿


コロナ時代のアムゼル

合唱団アムゼル 代表 辻川 一徳

新型コロナウィルス感染拡大期に入ってからの合唱団アムゼルの活動についてご報告いたします。 といっても、合唱はまさに三密そのものになってしまうので、3月以降はずっと練習休止の状態が続いています。

アムゼルは2021年春に18周年記念コンサートを開くことにしていましたが、 これは早々に中止を決めました。役員間で連絡を取り合い、とりあえず始めたのが、 音どり練習のためのCD制作と、オンラインによる役員会の試みでした。

CD制作は、コンサートに予定した全曲の各パートの音をピアノ伴奏の内海祥子先生に弾いていただき、 そのあとに団員の志賀リンデさんが朗読した歌詞を入れて、 みんなが自習できるものを作りました。 これらの音を編集しCDにしてコピーを各パート毎に配布するという面倒な作業を、 団員の田中幹夫さんが引き受けてくださいました。4月早々に全員に送られ、有効活用されています。

一方オンライン会議のほうは、田中幹夫さんのイニシアティブで4月から定期的にZoomによる運営委員会を開き、 さらに6月からは参加の対象を広げて、参加できる人には誰でも参加してもらおうと 「おしゃべりミーティング」を実施しています。梶井・内海両先生も必ず参加してくださり、 和気あいあいと話し合っています。いちばん多いときには19名の参加を見ました。 今後さらに多くのメンバーが加わることを期待しています。

練習の再開は、感染拡大の第2波が来ている今は、とてもできない状態です。 まず、練習会場の藤沢カトリック教会が使わせてもらえません。 われわれは目安にしている藤沢市の公民館の使用規定は「大声での発声や歌唱」は、 してはいけないことになっています。一方、横浜市栄区などでは基準がもう少しゆるいようで、 こういう施設を利用して早く練習を始めようと提案する積極的なメンバーもいました。 しかし団員の多くは「まだ練習に集まるのはこわい」と慎重な姿勢で、 今後も定期的にオンラインミーティングを開き、事態の推移を見ながら行動を決めていくことにしています。

オンラインミーティングの際に「オンライン練習」も試みましたが、これはとても無理とわかりました。 タイムラグが出るので、梶井先生の指揮を見て歌っているつもりでも、各人が勝手にそれぞれのテンポで歌っている結果になってしまいます。

アムゼルが出演を予定していた舞台ですが、7月末の予定だった「ふじさわ合唱祭」は、 いちおう来年2月に延期と決まり、さらに実施できるかどうか、10月ごろ結論が出ることになっています。 そして湘南日独協会の「オクトーバーフェスト」も今年は中止。いまは目標も立てられない状況です。

ただ、来年10月に開かれる「ゾーリンゲン国際合唱フェスティバル」に参加するかどうかは、 まだ最終的結論を出していません。昨年アムゼルに招待が来たのですが、あいにくわれわれは高齢合唱団。 アンケートを取ったところ、「行きたい、参加できる」という人より「私は無理」という人のほうが多く、 さてどうしようか、3月に臨時総会を開いて話し合うつもりだったところ、コロナ時代に突入してしまったわけです。 来年春ごろまでにワクチン開発され普及するという奇跡的なことが起こらない限り、 参加はとうてい無理とは思うのですが、暗いトンネルの遥か彼方の希望の光として夢を持ち、 諦めるのはもう少し先にしたいと思っています。


2018年 演奏会


2019年 オクトーバーフェスト


2019年 オクトーバーフェスト


ドイツの老人ホーム及び年金事情

田中 満穂

博学の読者の皆様方に今回ドイツの何をお伝えしたら良いのか、 何をお伝えできるのかは甚だ不安ではありますが、日頃、 ネットサーフィングをしながら楽しんでいるドイツ、あるいは欧州の事情を今回お伝えしたいと思います。

今日は、皆様がひごろ気になっているかもしれないテーマ、ドイツの老人ホーム事情です。 まずはドイツのウィキペディアから老人ホーム(ドイツ語の一般的、上部概念として”Altenheim“と言うようです)の説明をご紹介します。

以下、ウィキペディアからの引用:
老人ホームはドイツでは、AltenheimまたはAltersheim、Feierabendheim、Feierabendhaus、Seniorenheim、 Seniorenresidenzなどと呼ばれている。一般的には、老人が付き添い、 介護などを受け取ることができる住まいと理解され、Altenheimという単語は最近では「介護ホーム、Pflegeheim」 と同義の単語として使われるようになっている。

より専門的には、Altenheimは次の3つのカテゴリーの中間に位置する定着式(移動することのない)老人介護施設となる:
1)Altenwohnheim 住むことに重点が置かれた設備。
  その他の機能は限られた範囲での提供となっている。
2)Altenheim この施設では、狭い範囲での介護の必要性が存在し、
  自分自身で決めることができる生活が主体となっている。
  部屋の掃除や片付けのサービス、食事の提供は常に要求されている。住人が家事を行うことはない。
3)Altenpflegeheim 全面的に、特に介護を必要とする人の常備的介護が24時間この施設では
  存在している。

別の名称で日常的に使われる“Altersheim“(sが付いている)は、専門用語としては通常使用が回避されている。 理由は、老人“die Alten“(Alters-は単に「年齢の」という意味)のために運営されているホームだからである。 今日的にはAltenheimは、介護が提供されるホームと受け止められているが、 専門家の間の理解では、それだけに止まらず、最近のホームでは、住民の日常の正常化と生活への参加に重点が置かれるようになっている。

ドイツでは上記3種類のホームのうちAltenpflegeheimが最も普及している。 その数は2003∼2005年の間に7%増え10,424箇所に、2015年には全体で13,596箇所に増えている。 この施設に関する適用法はSGB XI(介護保証法)とSGB XII(社会福祉法)となっている。

因みに、日本の老人介護施設はどのくらいあるかというと、 有料老人ホーム(介護付き有料老人ホーム+住宅型有料老人ホーム+健康型有料老人ホームを合わせた) が13,525箇所、認知症の方を対象とするグループホーム12,124箇所、 特別養護老人ホーム7,891箇所となっています。
(2019年6月25日時点、出典「平成29年社会福祉施設等調査の概況」、「平成27年度介護報酬改定に向けて」、 「サービス付き高齢者向け住宅の登録状況」)


老人ホームの種類別施設数



プラウアムゼーのヴィルデハウス(Wilde-Haus in Plau am See)

ドイツにおける経営母体別に見ると、その分布は以下の通り。

国営:
非営利組織:
財団組織:
小規模民間組織:
大規模民間組織:
約10%
約30∼60%
約1∼5%
約15%
15%以下

ではドイツの老人人口比率は他のヨーロッパ諸国と比べどうなっているかというと、 ちょっとデータは古いですが(2010年)以下の統計データがあります。 (以下、ドイツ連邦統計局2011年のデータより)65歳以上のドイツの人口構成比はなんと、 欧州諸国でもトップです。(1位ドイツ20.7%、2位イタリア20.2%、3位ギリシャ18.9%)

ドイツ国内の65歳以上の人たちで、一人で生活している割合、 ペアで生活している割合、それ以外の割合は下記の通り。一人で生活している人々が34%、 ペアで一緒に暮らしている人々が57%、それ以外の形態で暮らしている人達が9%。(下の赤グラフ)


   一人暮らし    ペアで暮らす     その他の暮らし   

次に、気になる年金の支払額です。

やはりデータはちょっと古い2009年データですが、これには、新しくドイツに加わった旧東ドイツの 男性・女性の方が旧西ドイツ市民より多く受給しているという事実があるようです。 旧東ドイツ市民男性で月額平均1,069€、同じく旧東ドイツ市民女性で702€、それに対し旧西ドイツ男性、 女性がそれぞれ702€、487€となっています。この差は、 旧東ドイツでの女性の就業率が当時の西ドイツ女性に比べ遥かに高かったことが指摘されています。

参考に日本における年金受給額のデータをアタッチしておきます。

最後のグラフ(下)は各国の購買力の違いを考慮に入れたドイツの老人の収入を100とした場合の欧州各国の65歳以上の比較です。 (2008年度比較、ただし、計算ベースは不明)
こうして見ると、ドイツにおける65歳以上の高齢者の状況が少し垣間見えますね。以外にもフランスがドイツよりも上に来ているのは興味深い点です。
(1位ルクセンブルク168、2位オーストリア107、3位フランス107、4位オランダ106、5位ドイツ100、6位スウェーデン98)

次回は、出来たらもう少し広範にドイツ及び欧州の高齢者の生活の実情をこのレポートから見ていきたいと思います。
(上記内容はStatistisches Bundesamtm Wiesbadenより、2011年6月に発表された資料“Aletere Menschen in Deutschland und der EU“から抜粋しています)


「クラシック音楽の楽しみ方」  第7回

会員 高橋 善彦

今回は、おそらく最も有名なバロック音楽、Vivaldiの「四季」についてのお話です。 Vivaldiは、ヴェネチア生まれ(1678年)の作曲家、ヴァイオリンの名手、そして若い頃には赤毛の司祭 (il Prete Rosso) というあだ名を持つカソリック教会の司祭で、ピエタ慈善院付属音楽院 (Ospedale della Pietà)の音楽監督を務めます。

四季は4曲のヴァイオリン協奏曲で、1716年から1717年頃に作曲されています。1725年にアムステルダムで、 他の8曲のヴァイオリン協奏曲と一緒に「和声と創意の試み (Il cimento dell'armonia e dell'invention)」曲集として出版されます。

この四季の発想は、当時、Vivaldiが居たマントバの郊外、田園風景の印象からとされています。 しかし、四季の各曲を書いたと推定できる年と、当時、マントバを統治していた、ヘッセン=ダルムシュタット(Hessen-Darmstadt)の フィリップ 公子からの宮廷楽長の職位への招聘をVivaldiが受けた年に、微妙なずれがあります。 また、Vivaldiがマントバに着任前後、どれくらい居たのか等も明確に出来ていません。
 協奏曲 第1番 ホ長調 RV 269 春 La Primavera
    I. Allegro II. Largo e pianissimo sempre
    III. Allegro pastorale
 協奏曲 第2番 ト短調 RV 315 夏 L'Estate
    I. Allegro non molto−Allegro
    II. Adagio e piano−Presto e forte III. Presto
 協奏曲 第 3番 ヘ長調 RV 293 秋 L'autunno
    I. Allegro II. Adagio molto III. Allegro
 協奏曲 第 4番 ヘ短調 RV 297 冬 L'inverno
    I. Allegro non molto II. Largo III. Allegro

この四季の4曲の協奏曲は、それぞれ、急−緩−急の三楽章の形式になっています。 各楽章にはソネット形式(14行詩 Sonnet) の詩が付き、音楽の情景を説明しています。 ソネットはVivaldi自身 が書いた可能性が高いのですが、これも詳細は不明のままです。

しかし、明らかにソネットに従って、音楽は書かれています。 この四季の4曲の協奏曲は、音楽に物語的な要素を結び付けた「標題音楽」の最も古い秀作の一つです。 この作品では、音楽に物語の要素を「描写する」という、新しい概念を取り入れています。
例えば、「春」の第一楽章には、鳥の声、第二楽章には、山羊飼いの犬の声が聞こえてきます。 このような自然の音を描写するだけでなく、季節の風景から受ける感覚や心象、例えば、 春の訪れの喜び、夏の暑さ、冬の凍えるような寒さ、暖炉の暖かさなども音楽で表現しています。 この他にも、せせらぎの流れ、羊飼いの声、嵐、酔っ払った踊り手、夜の静けさ、氷上の子供達などを描写しています。

春の第一楽章の冒頭には「春が来た」とソネットが書かれ、春らしいのびのびとした音楽になっています。



そして、鳥たちは楽しげに春に挨拶する (e festosetti La Salutan gl‘ Augei con lieto canto, )と続きます。

この様に、ソネットの言葉に従って、音楽が展開して行きます。 ソネットについて全てをここで、ご紹介出来ませんので、以下、ご説明しておきたい箇所だけにします。

   ソネットの対訳と、ソネットが書き込まれている四季の各Scoreは下記からご覧ください。
   Scoreのソネットにも、日本語訳を付けてあります。
     ソネット対訳    春 Score    夏 Score    秋 Score    冬 Score

そして、小川のせせらぎの描写が出て来ます。

    泉の流れ
    泉はそよ風に誘われ、優しい音を立て流れはじめる。


この音形は、後のベートーベンの田園交響曲、第二楽章に出てくる「小川のほとりの情景」と比べると、 複雑になっていますが、発想はよく似ています。
次の譜面は、田園交響曲の第二楽章です。



多くの人が「小川のせせらぎ」を思い浮かべる音形で、言わば定番の音形です。 定番の音形は、古い時代から描写音楽や歌詞を持つ音楽では重要な存在で、定番作りに多くの作曲家が力を注いで来ています。

「春」の第二楽章では、ヴィオラに、遠くで吠える犬の声を聴くことが出来ます。



「夏」の最初には、夏の暑さに皆が疲れている様子を描いています。 Vivaldiは、3拍子の1拍目に休みを入れ、2、3拍子に半音の音程を書き込み、これだけでも「そっと」感が出ますが、 ごく弱く(pianissiomo)として、夏のうだるように暑さを表現しています。



続いて、夏の森に聞こえるカッコウ等の鳥の声、そよ風、急な風、嵐にうろたえる牧童の様子が描かれていきます。

「秋」は「四季」の中で、おそらく、一番、独奏ヴァイオリンの難易度が高い曲です。 第一楽章では、豊作に恵まれた村の祭りと、酔っばらいが出て来ます。第二楽章は、祭りの後、 村人が眠りについた村の静けさが描かれています。弦楽器は弱音器(sordino)を付け、 音色が少し籠もります。これにチェンバロが分散和音(arpeggio)を弾いて、静かな空気を表現しています。

「冬」の第一楽章は、凍えるような寒さにブルブルと震える様子から始まります。 寒い様子は、和音の使い方で表現しています。最初に、チェロがファ(F)の音から始まり、 次にヴィオラがソ(G)の音を弾きます。この2つの音は、隣の音で、不協和音となります。 そのまま、ヴァイオリンが加わり、冬の寒さを描いています。



第二楽章には平和な温かい調性の変ホ長調(Es-dur)を使い、暖炉の周りの暖かさを描いています。 そして、第三楽章の最後には、冬が終わり、春の訪れを暗示するように、短調の和声に、所々に長音階を借用し、 春を匂わせるように使っています。


「四季」を標題音楽と書きましたが、ロマン派以降の標題音楽とは少し質が異なります。 明らかに、ソネットが音楽を説明し、描きたい情景が見えて来る箇所があります。 具体的な鳥の声などではなく、感覚的な、暑さ、寒さのような部分、ソネットが補助的に説明しています。 そして、聴いている側は、この説明に納得できる音楽となっています。

四季が作られて103年後に、ベートーベンの「田園」交響曲が書かれています。 四季は、ソネットを標題として使っていますので、田園よりも積極的で、 具体的に標題が書き込まれています。そして、どちらの作品も描写的ですが、 その時代の音楽様式を守り、純音楽として美しく成立しています。 言葉、標題が無くても、ソネットの内容を知らなくても、楽しめる音楽になっています。 そして、描写は旋律に豊かな色彩を与えることになります。 この点が「四季」にしても「田園」にしても多くの人々に愛される秘密だと思います。

Vivaldiの音楽の魅力は、判りやすさです。多くの作品が、 判りやすい旋律と和声(和音が変化し進行すること)で構成しています。 和声は協和音、不協和音を巧く使いこなし、幅広い表現力を持った音楽を作っています。 協和音と不協和音が連続して、緊張感と解決感が交互に現れ、独特の雰囲気を作り、Vivaldiの音楽らしさとなります。

バロック時代の音楽は、この和声の進行をどの様にすると、どの様な音楽になるのか(機能和声)を課題として、 多くの作曲家が取り組んでいます。その頂点にいる代表的な存在がVivaldiです。和音の展開を巧く使い、 季節の変化、色々な表情を作り上げているのが、この名曲「和声と創意の試み “四季”」です。

そして、ヴァイオリンの名手 Vivaldiは、楽器の魅力を知り尽くしています。 余計な飾りなど不要で、簡単な旋律の形でも、美しいヴァイオリンの音を巧く引き出し、 魅了してくれます。このような音楽作りの才能は、全ての作品で発揮されています。


ご質問、ご希望、ご意見などは、協会の公式メールアドレス でご連絡ください。
記事の内容に全く関係の無い、音楽についてのご質問でも何でも結構です。ご遠慮なく、ご質問ください。 全てに巧く応えられるかどうかは、定かではありませんが、調べた上でご回答致します。



筆者


西洋音楽における原語訳の
    重要性と演奏について

高橋 愉紀

Einleitung (導入)
現在松野先生の“言語で読むヘルマンヘッセの世界”を、楽しく受講している。 最近ドイツ語の動詞の単語ziehenで、この動詞は機能動詞としても使われている、 というようなことを、クラスで発表させてもらった。 その際に、機能動詞 Funktions-verbの定義を独和辞典で調べていたら、 機能動詞は“本来の動詞の意味をほとんど失い、状態変化、他動、受動、 開始などを表すものである”と書いてあったのだ。いや、そんなはずがない! 動詞の意味を失っていたら、そういう使い方はしないはずだ、この定義には大いに疑問を抱いた。

その辞書は日本でも有名は出版社の物であり、編集をなさった方はドイツ人の意見も取り入れて、 辞書を制作されたと思われる。なのになぜ人々に誤解をまねくような定義を、 のせてしまったのであろうか? ここから先は私の勝手な推理ではあるが、 このような定義の方が、たぶん日本人にはわかりやすいという、ある意味、 今はやりの忖度の考えが浮かんだのではないであろうか?と思うのである。実はこのようなことが、クラシック音楽でも起きているのだ。

Die Ubersetzung (訳)
1)Der Takt (拍子)
最初に西洋音楽が日本にはいってきて、音楽教本を作ろうとなったときに、 音楽の大事な要素である、拍子について、間違った訳を載せてしまった人に、 実は、私は声を大にして、責任をどうしてくれる!と詰め寄りたい思いをもっているのである。 小学校の音楽の教科書には、おそらく今でも書いてあろう拍子の定義。音楽の大事な要素で、 3拍子、4拍子や6拍子などがあり、例えば3拍子とは、一拍目が強、2と3拍目が弱、 つまり、強、弱、弱ですよと、4拍子とは、強、弱、中強、弱と弾くようにと書いてある。 教科書どころか、楽典の本大学の教本などにもこの定義が書かれている。 実はこれは間違いなのである。ウィーンに留学して、当時のアカデミ―国立音大で、 世界的に有名なバドラ―スコダ氏のクラスで勉強を始めた私は、 スコダ氏がレッスン中に、3拍子は、1拍目が重く、2,3拍目が軽いのですよ、 つまりschwer, leicht,leicht!(重い、軽い、軽い)と、何度も言っているのに気が付いたのである。 彼は決して、stark,schwach,schwach (強い、弱い、弱い)とは言っていないのである! これは1拍目を他の拍の音と、区別をつけるという点だけは同じであるが、単に強く弾くのと、重く弾くのでは、根本的に意味が違う。

つまり強く弾いて、次は弱くしましょうでは、拍子はどこまでいっても、平面上の上を走っているが、 1拍目を重く、次は軽くなって、というイメージで拍子をとらえると、拍子感は立体的になり、 スイングしながら、先に進んでいくのである。音楽とは、何もないところから、一定のリズムとテンポでもって、 人間が心地よいと感じられる音楽的空間を作ることである。拍子感をどうとらえるかで、音楽の全体像はえらく変わってしまうのである。

2)spielerisch(軽やかに、遊び半分で)
今から15年ほど前に、私立大学のウィーン市立大学の教授と、2台ピアノのコンサートを、 日本各地で行ったことがあった。その際、コンサートの次の日に行われた、 彼の公開レッスンの通訳を務めていて、特に気になった言葉があった。それはspielerisch(形容詞)である。
この言葉は、ウィーンの教授方はよく使う。“もっとspielerisch に弾きなさい!“と、 盛んにレッスンで言うのである。この言葉は弾くという言葉spielenからきている。すでに今ピアノをspielen しているのに、さらにspielerischに弾けとはどういうことか? 辞書には、遊び半分の、とか、軽やかな、という意味が書かれているが、 実際にピアノのレッスンなどで言われている意味は微妙に異なり、 この辺の通訳はかなり難しい。私は日本人なので、レッスンを受けている学生が、 この言葉の意味をそのまま通訳しても、全く理解していないという事がわかるので、 色々とたとえをあげて、説明していたが、ついに教授の方にむかって、 ”この言葉は日本に存在しないので、他の言い方をしてください“と頼んだ。今度は教授のほうが、ふーむ!と考え込んでしまったのだが。 言葉というのは、その言葉が発生した国の人々の考え方を、ものすごく反映しているのである。だから前提条件  Voraussetzungが違うと、そこからイメージすることは、どんどん離れて行ってしまうのだ。

西洋音楽における、言葉の占める重要さは、とてつもなく大きい。ベートーヴェンも、楽譜に書き込む言葉には、相当気を使ったようである。 同じ意味の言葉でも、どうやったら、自分の音楽を理解してもらえるかと、 必死で考えたに違いない。とにかく、彼の生きた時代は、何もない時代である。楽譜に書き込む事以外に、 自分の音楽を、自分の主張を後世の人に、残す手段はなかったのだ。

3)Der Humor
さてユーモアについてである。日本人ほどこの言葉がピンとこない、 民族も他にないのではないかと思うほど、日本人はユーモアに対して理解がない。 理解どころか、大事な場面でちょっとユーモアでも言おうものなら、”この場に及んで不謹慎である“という、 レッテルをつけられるのである。なぜなのだろうか?この疑問は私の中で、昔からあったのである。 つまりユーモアや冗談は、日本では、普段日常生活では、出してはならないのであろうか?と。 それに対して、海外では、アメリカもヨーロッパでも、人々はジョークを好む。 中には政治的なジョークもあり、素直に笑えないものも沢山あるのだが。 昔ピアノのマイスターコースに何度か参加した。そして終了コンサートのあとの、 教授を囲んでの打ち上げパーティーの時に、必ず出てくるのが、このジョーク大会である。 皆がわあっと笑う中で、大体笑わないのが、日本人、韓国人などの東洋人と、 たまにドイツ人も笑わなかった。それは言葉の理解というよりは、そのジョークのおかしさがわからないのである。 “それがどうしておかしいの?”何度か友人に訪ねた事があった。 友人は色々と説明してくれるうちに、”えー?日本人はそうは思わないの?“という事になり、 そこから政治的、歴史的な話に発展したこともあり、 ”ずいぶん考え方が違うのね”という友人の感想でもって、そのジョークの解説は終わったのだ。 ジョークがおかしくなければ、ユーモアを理解するのも、 難しくなる。しかし、西洋音楽では、作曲家達が楽譜に、 ここはユーモアをもって演奏してと書き込んでいるのである。さあ、困った!と頭をかかえているのは、大体日本人! ユーモアの意味を完全に理解しようという頭を抱えている姿―これこそユーモアではないかと思ったことがあった。 大事な場面に遭遇するとヨーロッパの人たちは、冗談の1つや2つを言って笑い飛ばし、 局面を乗り越えていこうとする。冗談やユーモアを言える人間は、ヨーロッパでは、 人としての成熟度があると評価されることが多いのだ。洗練された、上品な冗談を、適切な時と場合に、 さらっといえるような人間には、心底あこがれてしまうし、またそれを受け止めてくれる人間社会に、日本もなってほしいと思っている。

筆者略歴:桐朋学園音楽大学卒業、ウイーン国立音楽大学へ留学、 その後ドイツ、オーストリアを中心に演奏活動をすると同時に、ウイーン音楽・芸術私立大学で非常勤講師、 日本での演奏会も毎年開催、2017年2月、37年振りに日本へ帰国


著者の「素顔のウイーン」2004年刊から


当時の ウイーン音楽・芸術私立大学


ドイツ文学を原語で楽しむ(読書会)の近況

湘南日独協会会長の松野義明氏を中心に、ヘルマン・ヘッセのDemian(デミアン)を取り上げて、 昨年10月1日に開始しました。今年に入り新型コロナ感染拡大の為、一時休んでおりましたが、 7月から藤沢ミナパークで再開しています。メンバーは、18名、中のお一人、 鎌倉浄明寺にお住いの100歳を越える、 藤田操さんは自宅からJR鎌倉駅までバイク、電車を乗り継ぎ藤沢へ、足取りも軽く、欠席されることなく、 ドイツ語を楽しむことが若くおられる秘訣の様です。

今回取り上げているDemianのドイツ語の朗読の音源を松野様の奥様のウルム在住のご友人、 ギゼラ・フライさんから送られてきましたので、参加者全員で礼状を送りました。 それに対しギゼラさんから写真のような礼状がお手製の栞(ゲーテの詩) と一緒に送られ来ましたのでご紹介したいと思います。 この読書会へは途中参加も可能ですので、参加希望の方は下記までご連絡下さい。 また、湘南日独協会のドイツ語講座の秋冬期には「講読」(松野講師)が開かれますので、 ご感心のある方は下記までご連絡下さい。




お手製の栞

ギゼラさんから届いた絵ハガキ
(ヘッセゆかりのマウルブロンの修道院)

ギゼラさんからの手紙(下は筆記体を参考までに活字体にしました)

Sehr geehrte Mitgliedern des Literaturlesekreises,
Ihr Geschenk mit den von Ihnen selbst auf Deutsch
geschrieben Danksagungen hat mich sehr gefreut und
berührt. Ich möchte Ihnen dafur von Herzen danken.
Mit dem mir sehr lieben Gedicht von Johan Worfgang
von Goethe als Lesezeichen hoffe ich, Ihnen eine
kleine Freude machen zu können. Es darf sie vielleicht
bei all Ihnen zukünftige „Leseabenteuern“ begleiten.
Mit herzlichen Grüßen Gisela Frei

読書会連絡先
 大久保 明
 メールでの問合せ・申込みはこちら
 〒247-0034 横浜市栄区桂台中19ー26
 ☎045-892-0578


音の文化 T
「音無しくしゃみ」

松野 義明

1958年10月、私はオーストリア政府が、若い学徒のために準備した給費留学生制度に応募して、 希望で胸を膨らませながら、ウィーンへ旅立った。 現代量子力学の父であるシュレーディンガー教授がウィーン大学で教鞭をとっておられたからだ。 ところが、私がウィーンで、まず習得したことは、シュレーディンガー方程式の解の深遠な解釈とはほど遠い、 何と、「音と飛沫を伴わないくしゃみ」の技術だったのである。60年以上も前に私が習得したその技術は、 現在のコロナ時代にも大いに役立っているというお話しである。

ウィーンの学生寮に落ち着いて間もなく、私は大好きな弦楽四重奏の演奏会へ出かけた。 私の前の座席の人品卑しからぬ中年紳士が、弦楽四重奏のデリケートなピアニッシモの進行中に 「くしゃみ」をした。正確に云うと、 彼の肩の動きから「くしゃみ」と判ったのだが、何と、音がしないのである。 したがって、飛沫も皆無である。音楽も素晴らしかったが、私が大いに感動したのはこの 「音なしくしゃみ」の技術であった。後でわかったが、これは、その中年紳士だけの技術ではなく、 オーストリア、ドイツの友人たち、ほとんどすべてがこの技術を身につけていた。

子供の頃、食事中にくしゃみをして、周囲をご飯粒だらけにして、顰蹙を買った経験のある私は、直ちに、 研究を開始した。そして、努力の結果、ついに技術習得に成功し、現在もこの技術を生かしつつ、コロナ時代を生きているのである。

技術開発に当たっては、まず、「くしゃみ」という現象を正確に把握しなければならない。 ウィーン大学民俗学研究所日本学科の図書館にあった国語大辞典によると、 「一回ないし数回痙攣的な吸息をおこなったのち、急に強い呼息を発すること。 鼻粘膜の刺激または烈しい光刺激によって起こる反射運動である。」 とのことだった。このプロセスを、音や飛沫を伴わずに実行するには高度な技術が要る。 鼻の穴にこよりを突っ込んで実験すること数日、私はその技術をついに修得したのだ。 ここでは、そのノウハウをお教えしよう。国語大辞典によれば、くしゃみをする時には、先ず 痙攣的に息を吸い込むことになっているのだから、技術開発の第一歩は、 くしゃみを予感じても、痙攣的に息を吸込まない術を習得する必要がある。 息を吐いた状態で、呼吸を止め、吸ったつもりになって、 横隔膜だけを十分下げることにより、胸郭の内圧を負に保ち、 鼻と口をしっかり閉じた状態で、いわば、「内部的にくしゃみをする」のである。 つまり、十分に下がった横隔膜を瞬時に元に戻して、「くしゃみ」をしたような気分になることだが、 実際には、胸郭の負圧が常圧に戻ったに過ぎず、 この運動系のエネルギーは身体内に閉じた状態で移動するだけだ。従って、 口や鼻から音も飛沫も飛ばない。その上、本来の「くしゃみ」の目的は達成される。 もちろんこの技術を身につけるまでには相当の訓練が必要である。 新型コロナヴィールスを含んだ飛沫を拡散させないため、現代にも求められている重要な技術の一つでもある。 ぜひ皆様にも技術習得の努力をお勧めしたい。

一般に、欧米の人は人間の出す自然の音をなるべく小さく抑えようとする傾向がある。 あまり派手に音を発すると他人に不快感を与えるかもしれないという配慮がその基本的な理由であろう。 (もちろん、例外はあって、欧米人でも鼻をかむときトランペットのような大音響を発する人もいる)。 一方、われわれ日本人(女性と若者の名誉のため、これは中年以上の男性に限る) は人体の構造上自然に発生する音は生きる権利の一つとして、 誰に遠慮することなく主張しようと云う風情が見える。通勤電車の中で、うとうとしているとき、 目の前の人が大音響と若干の飛沫を伴う「くしゃみ」をすると、 大いに吃驚すると同時に、その飛沫の洗礼を受けて少々気持ちが悪い。 現在はコロナ禍のため、そのようなことはなく、すべてマスク内で処理されているので問題はないが、 コロナ禍が過ぎた暁にどうなるかは不明である。

私は、文化とはそこに住む人間の感性の上に築き上げられた生活習慣のようなものだと思っている。 ただ、日本人と欧米人の音に対する感性を客観的に比較してみただけなのである。 ある一つの音に、快感を感ずるか、不快感を感ずるかが、 西と東で違うことに興味を覚えただけなのである。もちろん、 人間の感性には強い個性があるから、少数例から一般論を導き出すことは難しいであろう。 舌鼓のピチャピチャ音やスープを食べる時のズルズル音が大好きな欧米人もいるだろうし、 反対に、それに強い不快感を持つ日本人もいるに違いない。


劇場便り その22

これまでの劇場だよりは、こちら からご覧頂けます

ブレーマーハーフェン 志賀 トニオ 氏


筆者ご夫妻

8月は毎年シーズンの始まりの時期。今年はコロナの影響で開始が心配されましたが、 ここブレーマーハーフェンの劇場では8月13日に予定通り仕事が始まりました。 3月中旬から閉鎖されていたので、本当に始まるのか、 始まるならどのような条件の元に始まるのか皆、疑心暗鬼な状態でした。 まず、最初の顔合わせの時間。例年劇場のカフェテリアで開催されるのですが、 今年は劇場前の広場での開催となりました。

その後大ホールに移動して総支配人の挨拶、新規契約者の紹介、 劇場内の安全確認(火災報知器の使い方等)の説明があるのですが、 今年は皆マスクを装着して大ホールに移動し、そのまま着席。 総支配人の第一声は、席に座ったらマスクを外して良いとの事でした。 その後の劇場内の安全確認の説明も今年はコロナの説明が主となりました。 まずは休暇中に国外に滞在し、8月1日以降にドイツに入国した人は、PCR検査を受け、 一回目の検査の6日目以降に2回目のPCR検査を受け、 それぞれ陰性であった事を証明した後に仕事に来るとの事。劇場内を移動する時にはマスクを装着し、 稽古場に到着したら外して良い事。稽古場の大きさによって、滞在できる人数の上限がある事。 稽古は45分間ごとに休憩を入れ、15分換気し、休憩中はその部屋を空にする事。 それらの説明が終わり、いよいよ11時30分から最初の演目であるシカゴ (ミュージカル)の稽古が始まりますが、ここでも最初はコロナ関連の説明からスタート。 上演時の観客の感染リスクを低くする為、上演時間が休憩無しの90分程度になるように曲をカットする事。 語りの部分は2m、歌う時は6m間隔を空ける事。オーケストラはオーケストラピットには入らず、 別室の間隔を十分に空けられる広い部屋で、モニター越しに指揮者を見て演奏する事が説明される。 この決定には大変驚き、どのように機能するのか心配しています。歌手が舞台上で、 オーケストラは全く別の遠くの部屋だと、モニターと音声のずれが生じる危険性があると思うのですが。 こればかりは経験がないのでやってみなければわかりません。 そしてようやく音楽稽古と立ち稽古が始まりました。 コロナの話ではなく音楽の話ができる喜びを噛みしめながら通常の状態にようやく少し戻りました。 45分で休憩になるのはあっという間で、コーヒーを飲む量が増えました。

ここからは3月からのコロナ危機と劇場の様子を紹介しましょう。当初は突然2週間の休みになり、 その後再会される予定でしたが、感染者の増加に合わせて休みも延びていきました。 私は再開時に向けてウェルテル(マスネ)の準備に集中し、 その後はオーディションの為に普段はなかなか時間の取れないピアノのソロ曲の練習等をしていました。

なかなか仕事が再開せず、時間的にも余裕が出てきたので、今度は荒れていた庭の手入れをし、 学校と幼稚園がお休みになった子供達と、人のいない郊外の原っぱまでサイクリングし、 バドミントンやサッカーをして遊びました。数少ないアイス屋さんがお持ち帰り限定で空けていたので、 そこまでサイクリングして帰ってくるのも定番となりました。 5月になるとコロナの規則がやや緩和され、劇場では来シーズンに向けて、 シカゴのキャスティングのオーディションを行う事になり、私が伴奏する事になりました。 およそ2か月ぶりの仕事だったのですが、オーディションの3日前に風邪の症状と軽度の発熱があり、 これは困ったと、至急新聞に出ていたコロナ対応の電話番号に連絡。 金曜日の午後だったので、電話越しに対応する医師がいないとの事で、 19時に再度かけて欲しいとの事。言われた通りに19時に電話した所、 今度は何度かけてもつながらない。諦めて、しばらくたった後21時頃に電話したらようやくつながる。 聞けば、19時から医師が対応を始めていたそうで、きっと電話がなりっぱなしだったのだろう。 症状を伝えると、PCR検査の受診許可をすぐに検査所に送信してもらい、 次の日の朝には自転車で10分程の検査所まで行って来る。 そこではPCR検査だけして終わりだと思いきや、きちんと医師の診察があり、 血圧や体温、症状を確認。PCR検査の為だけに開設された検査所だったのですが、 内実は立派な診療所のようであった。自宅では検査結果が出るまで仕事部屋に隔離状態だったので、 少しでも早く検査結果が出る事を心待ちにしていました。幸い週末であったのにもかかわらず、 次の日の朝には陰性の結果が出る。風邪の症状も軽く、すでにほぼ完治しており、 予定通り次の日のオーディションで伴奏する事ができた。そしてその後、 5月に2週間の音楽稽古が行われる事と、6月1日から実質夏休みに入る事が告げられる。 そして何より皆が心配していた給料も、6月分のみ5%カットで、 それ以外は通常通りに維持されるとの事でした。ドイツの劇場で働いている人は公務員ですので、 そもそも税金で賄われている比率が高く、おそらく音楽家としては最も安定している職場の一つでしょう。 今回のコロナ危機程、ドイツの劇場で働いていて良かったと思った事はないと思います。 そして、音楽稽古では来シーズンに向けて、シカゴとフィガロの結婚を中心に稽古をしましたが、 あっという間に長期の夏休みに突入。しかし、休みといっても日本行きも断念し、 電車の移動も感染リスクがあるなか、思い切って車を購入する事を決断。 数年前に日本の運転免許証をドイツの物に書き換えていたのですが、 なにせ19歳の時に免許をとって以来ほとんど運転していない所謂ペーパードライバーだったので、 購入後に近所の駐車場で毎日練習。おけがでこの夏休みは車での散策を楽しむ事ができました。


稽古場の写真:床にマス目状に貼られた白いテープは演出の為ではなく、
コロナの規則を守り距離を保つ為の立つ位置を示す1メートル四方の目印



お子様たちは元気に野外で楽しんでいるようです


フランクフルトの“ハチ公”

大久保 明


コロナ感染対応が上手く行っていると言われているドイツでも、外出制や合唱活動中断している状況の5月、 フランクフルトの友人が子犬の写真とこんなメールを送ってきました。

anhangend finden Sie ein Bild von Hatschiko - er stammt aus einem Wurf von 8 Welpen, also ist er das „achte Kind“! Es ist ein Langhaardackel, Standardgröße. Die erste Woche war sehr anstrengend, da der kleine Kerl erst 8 Wochen alt war, und er ist natürlich nicht stubenrein.

私は日本で柴犬(雑種)を飼っていたことがあります。 ドイツ駐在中は隣の家に4年間預けていましたので。この種のドイツ語は馴染みが無く、 Wurf(一腹の子)はWorfかと思い、一寸待てよと、辞書には、Werpenは犬、オオカミ、キツネの子,とあり、 そしてachte Kindと続き、混乱してしまいました。さらに、stubenreinとあり、排泄の躾のできた犬を買う習慣のドイツで 生まれて8週間の子犬を買った友人の英断をやっと理解出来ました。

コロナ騒ぎのなか時間があるので、躾も何もかも面倒を見ようとするドイツ魂を感じました。 そしてその子犬につけた名前はHatschiko(ハチ公)です。ハチのチをこのように書く、これもまた新しい発見でした。

フランクフルトのLinden Ringに住むKraus-Dieter Kunzmannは1990年代、東京に駐在し、 お互いの古い友人のドイツ人から紹介で始まり、帰国後も機会を作り会っています。 お互い歌が好きで彼の家では彼の弾くグランドピアノで歌います。彼が東京駐在時代の話を書いた、 Tagebuch eines Entsandten (日本語の副題『東京タワー』)には私も出て来ます。


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