湘南日独協会会報 Der Wind

 VOL.23 NO.1 通巻 131
 発行 2021.03.14
 更新 2021.04.19

   

 連絡先

 TEL: 0466-26-3028
 FAX: 0466-27-5091
 Mail:
 jdgshonan.official@gmail.com
   

 ご案内

 湘南アカデミアの地図
 〒251-0025
 藤沢市鵠沼石上1-1-1
  江ノ電第2ビル7F
   
ご挨拶

      湘南日独協会会長 松野 義明

1861年1月24日に日本とドイツ、当時のプロイセンとの間に「修好通商条約」が締結されてから、 今年で160年を迎えることになります。この1年を両国友好の記念の年として、 様々な行事や事業を通じて、両国が共有する歴史を振り返りながら、未来に目を向け、 両国に共通な今後の課題の抽出や両国の今後の協力の可能性について考え、 皆様と御一緒に、今までより深く、質の高い文化交流を展開していくことを念じております。 当協会としては、特に若者層の交流を中心として、両国の文化の底を流れる価値観を共有しつつ、 生産的な活動を続けていきたいと念じております。

ガウス・デンクマール訪問記

突然、私事で恐縮ですが、私は小学校の頃、算数が大嫌いでしたが、中学・高校ではなぜか数学に惹かれ、 とうとう大学では(後に、私の数学の才能不足ゆえ、物理学に転向はしたものの)専門的に数学を勉強する羽目になってしまいました。 数学科の講義やゼミに出席していると、ガウスの整数論、ガウスの定理、ガウス積分、 ガウス級数、ガウス分布など、ガウスという名前の付いた言葉が耳から怒涛のように入ってきました。 知らない間に、この人がドイツのブラウンシュワイグ出身であることも頭の片隅に入っていました。

それから六十数年後、友人と二人で、バッハの足跡を辿るドイツ旅行に出かけた時、 ついでに、ブラウンシュヴァイクを訪ねずにはいられませんでした。1777年にこの町に生まれ、 日本とドイツが親しく交流を始めるほんの少し前(1855)に天寿を全うしたドイツの天才的数学者 カール・ヨハン・フリードリッヒ・ガウスの銅像を一目見たかったからです。 没後160年以上たった今でも、世界中の数学や物理学の学徒で、この名前を耳にしたことのない人はおそらく一人もいないでしょう。

銅像は町の中の大きな公園の一角にあるとのことでしたがなかなか見つかりませんでした。 一人の青年が犬と一緒に散歩していたので、銅像がある場所を訊ねてみました。 丁寧に教えてくれましたが、不思議そうに、あの銅像をわざわざ見に来る観光客は滅多にいないのに、 あなたは一体どこからいらっしゃったのですか?というので、 日本からです…とお答えしたら、そんなに遠くから…と大変驚いた様子でした。 お礼を言って、その場はお別れしました。教わった通りに歩いていくと間もなく 目的の銅像を見つけることができました。大変美しく、堂々たるデンクマールでした。 感慨深くその銅像を眺めていたら、しばらくして、先ほどの青年が、今度は犬を連れずに、 走って現れました。恐らく急いで家に帰って、犬を家において、再び、出てきてくれたのでしょう。 片手に一枚の紙を持っていました。我々の町の誇りであるガウスが日本でもよく知られていると聞いて、 とても嬉しいのです。この銅像を撮った古い写真があったので持ってきました。 ぜひ、記念にもって帰ってください…というのです。私はその青年の温かい心を有難く頂いて、帰りました。 写真に写っている女性の服装とガウスの没年から考えると、1800年代の終わりから1900年代初めの写真で当時、 カラーフィルムはまだありませんので、白黒写真に後から着色したものでしょう、 恐らく観光客用に販売されていたものと想像されます。この町の中には、この銅像以外に、ガウスが生まれた家、 住んでいた家など数か所に、記念の言葉が刻み込まれた分厚い石板が嵌め込まれていました。 知的文化が市民に染みわたり、その文化を創造した人間への愛情を大切に保ち続ける文化― これがドイツの文化なのだなあ…としみじみ思いました。 ドイツ人であれ、日本人であれ、一人一人の人間の中にはそれぞれの文化があります。 この文化は波動現象のようなもので、条件が合えば、国籍を問わず、 時空を超えて共鳴現象が起こるのだなあとつくづく思わされる楽しい思い出です。


2021年度の活動計画

副会長 勝亦 正安   

昨年、新型コロナヴィールスに因り当協会も大きな影響を受け、多くの活動が延期、乃至中止となりました。 一旦再開された活動も、昨年末から本年初に掛けて再び、感染が急拡大し、中断しました。 1月に2月7日期限の緊急事態宣言が発出され、その後、3月7日まで延長されています。 この為、本年1月復活予定であったドイツ大使館首席公使Dr.フィーツエ氏講演会「壁崩壊後のドイツ30年」は 再度延期せざるを得ず、2月末開催予定の会員大澤由美子氏講演会「律令制と女性官僚」も 3月に延期されることとなりました。このところ、全国的に感染者数は減少傾向にあり、 また、日本でも医療関係者向けに2月ワクチンの接種が始まりました。 こうした状況下、本年度の例会は、先ずは4月会員大久保明氏講演会を皮切りに、 5月科学技術振興機構 研究主幹 永野博氏、 7月ドイツ大使館首席公使Dr.フィーツエ氏復活の講演会、 7月ピアニストである会員高橋愉紀氏、 9月明治大学教授メンクハウス氏、 10月オクトーバーフェスト、 11月会員西山忠壬氏、 等々、 興味深い、皆様に楽しんで頂ける行事を計画しています。

また、ドイツ語講習会また、ドイツ語講習会は来期オンライン方式で開講予定、 読書会は3月から再開、また、中断中の談話室SASも再開を検討しています。 然しながら、コロナの今後の動向を正確に予想することは困難であり、 先に申し上げた予定や計画の急な変更があり得ることをご理解頂ければ幸いです。 計画の詳細は四半期毎発行の会報で、万一の急な変更は、Eメール、ホームページ、 電話等によりお知らせします。

終りに、協会としては、コロナ対策に意を尽くしますが、 皆様も参加に際してはマスク着用等に十分にご留意頂ければ有難く存じます。 皆様のご健康と安全を切に願っております。


 募集
 湘南日独協会 会員募集中

  湘南日独協会では、会員を募集しています
   入会申込書(PDF版)を、 こちらからダウンロード、印刷、ご記入の上、協会まで送付下さい
  もしくは
   入会申込書(Excel版)を、 こちらからダウンロードし、
   エクセルで開き「編集を有効にする」「コンテンツの有効化」にして、必要事項をご記入頂き、
   保存の上、 こちらから、協会宛のメールに添付し、送付下さい

 ドイツ語オンライン講座 2021年 春夏期 (4月〜9月)

   ドイツ語講座では、新型コロナウィルスの感染状況にかんがみ、
   来期(4月〜9月)をオンライン講座のみの開催といたします。

   ワクチン接種開始、感染者の減少傾向などのプラス要因を考慮に入れても、
   なおオリンピックを始めとして、来期中の不確定事項への危惧はまだ払拭されません。
   皆さまとの対面授業が叶わず、甚だ残念ではありますが、
   オンラインならではの良さもお感じいただけるのではないかと存じます。

   来期講座は、入門から上級までの、幅広いクラス編成です。
   また上級クラスは、会話・新聞講読と二部構成で、それぞれ別々の受講も可能です。
   詳しくは、同封のチラシの講座概要をご覧ください。
   ご受講、お申込みはお早めにお願いします。

   湘南日独協会では、ドイツ語講座をオンラインで開講しています
   詳しくは、 こちらをご覧下さい

 合唱団アムゼルの団員募集   歌う楽しみをご一緒に

合唱団アムゼルの活動はコロナ感染状況により練習を中断しておりましたが、
3月17日(水)より、感染予防に十分配慮し練習を再開することになりました。 練習曲目は次の様な曲を予定しておりますので、ご希望の方には楽譜を準備いたします。見学も歓迎します。

  セレナーデ (シューベルト)
  歌の翼に(メンデルスゾーン) 他
  練習会場 3月17日は  鵠沼公民館 地図

アムゼルのページは、 こちらをご覧下さい
これまでの演奏会、現在の練習の様子等を音源付きで見ること聴くことが出来ます。


練習は
 毎月第1と第3水曜日(第5も可能性あり)
 午後1時30分より3時30分
会場は
 カトリック藤沢教会(藤沢駅より徒歩8分)
問合せ
 理事 水谷妙子(045-895-6845)

理事 大久保 明


 SAS:おしゃべりの部屋    当分の間、休止しています

 談話室SASとは?
  Schwätzerei(おしゃべり) Am(で) Stammtisch(常連客の席)、ドイツで広く知れ渡っている文化
  親睦を深める会。自由なトークと情報交換の場

  詳しくは、こちらをご覧下さい

読書会(ドイツ語原書)へのお誘い 
一昨年10月に始めました「ドイツ文学を原書で楽しむ読書会」は、月に2回実施して参りましたが、 COVID-19拡大防止のため、昨年の3月頃から、中止、実施を繰り返し、不安定な状態が続いておりました。

この度は、3月7日の緊急事態宣言解除の見通しと継続的な感染者数減少傾向を拠り所として、
3月16日(火曜日)から上記読書会を再開することに致しました。

今は、ヘルマン・ヘッセのデーミアンという小説を読んでおります。 エミ―ル・シンクレールという少年が、少し年上のデーミアンという不思議な少年の助けを借りて、 自分の心の中に生ずる様々な情念と戦いながら、自己を追求しつつ個を確立し、 必死に生きていく物語で、ヘルマン・ヘッセ自身の姿とも言われている作品です。 この作品は8章から成っておりますが、現在は、第3章のほぼ半分を読み終えた段階です。

ドイツ文法を一通り勉強なさった方でしたら、どなたでもご参加頂けます。 途中参加の方のため、今まで読んだ部分の翻訳文と、解説を常時準備してありますので、 ご希望の方にはお送りします。「青春時代の心の躍動」をもう一度味わってみたい方は、是非、ご参加ください。

ご関心のある方は、松野(matsuno.cello@gmail.com 又は Tel:0467-32-7300)にご連絡ください。


新企画のご案内   見て聴いて楽しむ音楽史

   第1回 Beethovenの音楽 何が凄いのか?[その1]
    取り上げる曲:Beethoven 第5番交響曲、第6番からも少しだけ etc.

    日時 : 2021年 6月 3日(木) 14:30-16:30
    講師 : 高橋 善彦 氏 (会員、指揮者)
    会費 : 1,000円
    会場 : 湘南アカデミア 7階

   第2回 Mozartの音楽 何が凄いのか?[その1]
    取り上げる曲:Mozartの作品 詳細は未定 決まり次第お知らせします

    日時 : 2021年 7月15日(木) 14:30-16:30
    会場 : 湘南アカデミア 7階

ドイツの音楽を中心に取り上げます。
音楽を楽しむために、作曲家の環境・事情や、作品の背景、楽器の事情などを
音楽史の中で解説し、音楽を見ます。

概要
 音楽は主に演奏の映像付きで見て頂きます。
 演奏以外の映像を入れることもあります。音楽に関係した映像になります。
 音楽を見る、聴くことが、この会の中心、主体です。

 話は、曲の背景、作曲家や楽器、奏者の事情など・・・曲の周辺を説明します。
 音楽を見て聴く時間は40分〜50分程度を、およその目安とします。
 ですから、音楽は全曲よりも抜粋が多くなるかもしれません。
 それでも、全曲を聴きたいような場合には、回を分けてとなるかもしれません。
 質問の時間を充分に取りたいと思っています。

企画
 音楽を楽しむために、色々な切り口で、音楽を取り上げてみたいと思っています。
 もちろん、まだ、思案中ですが、企画したいと思っている内容を紹介します。
 皆さんのリクエストに応える企画も、是非、用意したいと思っています。

何が凄いのか?シリーズ
・Beethovenの音楽 何が凄いのか?
・Bachの音楽 何が凄いのか?
・Mozartの音楽 何が凄いのか?

音楽家たちの結びつき
・民族音楽の芽生え Grieg, Smetana, Dvorak, Brahms
・天才たちの出会い Telemann, Handel, Bach
・イタリアからドイツへ音楽の遺伝 Monteverdi, G. GabrieliとHeinrich Schütz

名手たち
・Pianoの名手 Beethoven, Franz Liszt, Robert Schumann
・Organの名手 Dieterich Buxtehude, Johann Pachelbel, Bach

楽器の話
・金管楽器の謎と音楽
・木管楽器の仲間と音楽
・弦楽器の変遷と音楽
・指揮者は何をやっているの;作曲家との会話

オペラ
・隠れたoperaの名曲 知られざる美しい音楽
・歌劇とSingspielと楽劇
・イタリアオペラとドイツ語のオペラ Vivaldi, Bach, MozartとRossini, Verdi

その他
・音楽と数学、音楽と文学、音楽と天文学、音楽と建国論
・国王と音楽;音楽の支援者となった国王と音楽家
・ジャズとは?クラシック音楽との共通点と違う所    等々

 開催イベント

 ★催し物に参加を希望される場合は、必ず当方にご連絡を頂き、
  併せて、こちらから連絡を差し上げる連絡先をお預けください

 ★当方の都合により、6月例会の開催日程が変更になっています

 詳しくは、こちらをご覧下さい
  湘南日独協会 催事カレンダー(2021年4月1日版)は、 こちら から、ご覧頂けます

  年次総会 
   4月25日(日)13:00-14:00
  4月例会 
   4月25日(日)14:30-16:30 講演会 私の短歌生活
  5月例会 
   5月30日(日)14:30-16:30 講演会 ドイツの科学技術力の強さは何処から来るのか
  見て聴いて楽しむ音楽史 
   第1回 6月 3日(木)14:30-16:30 Beethovenの音楽 何が凄いのか?[その1]
   第2回 7月15日(木)14:30-16:30 Mozartの音楽 何が凄いのか?[その1]
  7月例会 日程が変更になりました
   7月 1日(木)14:30-16:30 講演会 壁崩壊後のドイツ30年
   7月25日(日)14:30-16:30 講演会 私の音楽修行について

 読書会:ドイツ文学を原語で楽しむ会
   
   詳しくは、 こちらをご覧下さい


 講座案内 
   ヨーロッパ近・現代史 〜ハプスブルク家を彩った女性たち〜
   講師 西澤 英雄 氏 ヨーロッパ史研究家・湘南日独協会会員
   開講 4月13日(火)   主催 湘南アカデミア

 会員の皆様へ
投稿のお願い
会員の皆さんの日頃のご活躍を会報でお知らせしたいと思います。 演奏会・展覧会・発表会・講演会等の予定をお知らせ下さい。
会報は季刊、3月、6月、9月、12月の第2日曜日発行予定です。 前月の中旬までにメール・郵便のいずれでも結構です。お待ちしています。

皆様へ、ご協力お手伝いのお願い
季刊の会報Der Windの発送作業を、原則、季刊3月、6月、9月、12月の第2日曜日、午前10時から行っています。
お手伝い頂ける方は、ご連絡頂ければと思っています。

年会費について
これまでに、会費を振り込み頂いた方でお名前の記載がない方が居られます。会の方へご連絡いただきたくお願いします。



 これまでの掲載記事
   (寄稿など)


  会員掲示板(これまでのホームページ掲載記録 - ältere Nummern)
  劇場便り
  音楽の楽しみ方
  マインツから
  Deutsche Witze
  私とドイツ
  皆様から寄せられた岩崎先生への追悼文



 これまでの活動


  

 2008年 2009年
 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
 2015年 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
 2020年度



 関連協会



 日独協会(JDG)

 〒160-0016 東京都新宿区信濃町18番地マヤ信濃町2番館
 受付時間:月〜金 10:00〜18:00
 TEL: 03-5368-2326 FAX: 03-5368-2065


 横浜日独協会(JDGY)

 〒223-0058 横浜市港北区新吉田東2-2-1-913
(事務局:能登)045-633-8717



 提携協会



 ワイマール独日協会

  Rainer-Maria-Rilke-Straße 10A, 99425 Weimar
   c/o : Peter Käckell
   E-mail : djg-weimar@t-online.de

湘南日独協会 開催行事の予定

 ★催し物に参加を希望される場合は、必ず当方にご連絡を頂き、
  併せて、こちらから連絡を差し上げる連絡先をお預けください

  湘南日独協会 催事カレンダー(2021年4月1日版)は、 こちら から、ご覧頂けます

月例会

会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
   藤沢市鵠沼石上 1-1-1 江ノ電第2ビル 7階
   TEL 0466-26-3028

会場 藤沢商工会館(ミナパーク)
   〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢 607-1
   0466-27-8888 (代表)


年次総会  

日時 2021年 4月 25日(日) 13:00〜14:00
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階


4月例会 私の短歌生活  

日時 2021年 4月 25日(日) 14:30〜16:30
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 大久保 明 氏  湘南日独協会会員 短歌結社「塔」所属
概要 「五七五七七」の短歌を作る、また短歌を読む楽しみ。美智子上皇后の御歌はじめ
   現代短歌作品を読みながら日本語を味わい、また日本語の将来を考えましょう。

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

5月例会 ドイツの科学技術力の強さは何処から来るのか  
      ―ドイツ科学技術政策の立案と実践システムの特徴―

日時 2021年 5月 30日(日) 14:30〜16:30
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 永野 博 氏  科学技術振興機構 研究主幹
概要 科学技術立国ドイツと聞きますと、違和感はありません。自動車立国の日本でも ドイツ車が席捲しています。メルケル首相は専門家の考えを尊重していますが、その信頼はどこからくるのでしょうか。 国家の政策は市民一人一人の価値観を抜きにして考えられません。世界でも群を抜くドイツの科学技術の強さはどこからきているのか、 日本の政策を考える上でも知っておくべきドイツの研究政策のいまをテーマにお話し頂きます。

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

第1回 見て聴いて楽しむ音楽史  
      Beethovenの音楽 何が凄いのか?[その1]

日時 2021年 6月 3日(木) 14:30〜16:30
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 高橋 善彦 氏 湘南日独協会会員、指揮者
概要 Beethovenの第5番交響曲、第6番からも少しだけ、音楽を見て聴いて頂いて、 Beethovenがどの様な音楽を作り、後進の音楽家たちに影響を与え貢献したのか、また、この音楽についてもお話します

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

7月例会(1) 壁崩壊後のドイツ30年    日程が変更になりました

日時 2021年 7月 1日(木) 14:30〜16:30
会場 藤沢商工会館(ミナパーク) 5階 502会議室
講師 Dr.クラウス・フィーツエ ドイツ大使館首席公使
概要 ドイツを分断してきた壁が崩壊して30年を経過、統一を果たしたドイツは、今やEUを
   牽引する大国です。しかし、EU内では、英国BREXIT、難民問題に端を発した旧東欧諸
   国との軋轢等に直面しています。また、強権の中ロにどう対応するのでしょうか。
   新大統領を迎えた米国との関係は?国内では、異文化の流入、核廃棄物処理、少子高
   齢化、企業統治等々、日本と共通する悩みも少なくありません。ドイツは問題にどう
   取り組んで行くのでしょうか。

   公使は、こうした問い掛けに出来る限り、答えて下さることでしょう。
   なお、お話は日本語で行われます。

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

第2回 見て聴いて楽しむ音楽史  
      Mozartの音楽 何が凄いのか?[その1]

日時 2021年 7月15日(木) 14:30〜16:30
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 高橋 善彦 氏 湘南日独協会会員、指揮者
概要 Mozartの作品 詳細は只今画策中です
   Mozartの音楽に見られる、Mozartの美学とは・・・
   (詳細未定:決まり次第、こちらでお知らせします)

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

7月例会(2) 私の音楽修行について    日程が変更になりました
      ―東洋人が西洋音楽をするということ―

日時 2021年 7月 25日(日) 14:30〜16:30
会場 湘南アカデミア 江ノ電第2ビル 7階
講師 高橋 愉紀 氏 湘南日独協会会員、ピアニスト
概要 講師が36年間のヨーロッパ生活の中から、ご自身の豊富な体験を通してつかみとった 西洋音楽の研鑽について、電子ピアノの演奏を交えつつ、語って頂きます。音楽学生生活、 外国からの留学生の学びの姿勢、日本との生活慣習の違いから学び取った西洋人の考え方、 日常生活とその中でのハプニング、子供の教育を通して感じたこと等々、 海外経験のある方にも無い方にも、役に立つ、興味ある話題満載の、且つミニ・コンサートとも言える2時間です。

会費 1,000円

懇親会 会場 未定

読書会

  ドイツ文学を原語で楽しむ会
   詳しくは、 こちらをご覧下さい

会費 1,000円
会場 ミナパーク 5階, 3階

    読書会の予定など、変更がある場合には、こちらでお知らせします
                           (2020/09/27 更新)

談話室SAS

会費 1,000円

談話室SASについてのご紹介は、
こちらをご覧下さい


   当分の間、休会します

 寄稿
     盲導犬育成ボランティア (田中 幹夫)
     アドミラル山梨の軌跡 (藤野 満)
     ドイツの外交政策 (田中 満穂)
     西洋音楽における言語訳の重要性と演奏について(その2) (高橋 愉紀)
     クラシック音楽の楽しみ方 第9回 (高橋 善彦)
     劇場便り その24 (志賀 トニオ)


盲導犬育成ボランティア

会員 田中 幹夫

盲導犬育成のお手伝いを始めてから、気が付けば28年になります。

きっかけは子供が小学校高学年になり生き物の世話をさせたいと考えていた頃、 知人から盲導犬のパピーウォーカーの話を聞き、早速、 家族で訓練所に見学に行ったことからです。当時の訓練所は茅ケ崎にありました。 古い一軒家がそれでした。そこで訓練中の盲導犬やPR犬達とふれあい、 アイマスクをして盲導犬と街を歩く体験もしました。 そして家族が協力して出来る範囲で盲導犬育成のお手伝いを始めることになりました。

盲導犬育成ボランティアには主に三つあります。 第一は「パピーウォーカー」、第二は「繁殖犬飼育」、第三は「退役犬飼育」です。 一番目は生後2カ月の仔犬を約一年間、家庭で人からの愛情をたっぷり受けて育てるもので、 テレビなどでご覧になった方も多いと思います。 二番目は盲導犬に適した性質の仔犬を繁殖する親犬を飼育するもの。 三番目は盲導犬のお役目を果たした老犬の余生をみてあげるものです。 関心がお有りでしたら日本盲導犬協会のホームページをご覧になってみてください。
  日本盲導犬協会のホームページ

日本の盲導犬の犬種は草創期にはシェパードもいたそうですが、 今はラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーです。どちらも賢く、 人の言うことを理解し、人の動きを予測する能力もあります。無駄吠えはしません、 また排泄の躾もしっかりできます。もちろん家の中で一緒に暮らします。

さて28年前、初めて家に来たのは三歳のラブラドール。雌の繁殖犬でした。 体重は25sありました。とても穏やかな母性本能の持ち主で、常にうちの子供達を見守ってくれました。

産まれた仔犬の多くが盲導犬になりました。十二歳半ばで家族全員が見守る中、 息を引き取りましたが子供達にとっては死に接する良い経験になったと思います。 次に来たのは生後2か月のゴールデンレトリバー。 パピーウォーカーをやりました。 この子はお茶目すぎて残念ながら盲導犬訓練で合格出来ませんでしたが、 十三歳で亡くなるまでうちで暮らすことになりました。そして今、 うちにいるのは三歳の雌のラブラドールです。昨年、初産で七頭の仔犬を産みました。

この先もこの子と共にずっと暮らして行けるためには、 コロナなんかに罹ってなんかいられません。朝夕の各5qの散歩をしてやるには、 まずこちらの体力維持が必要だからです。


初産で7頭産まれました


産まれた仔犬たちです


アドミラル山梨の軌跡


会員 藤野 満

「仮面の告白」の中に
三島由紀夫の自叙伝的小説「仮面の告白」に、彼が学習院高等科を首席で卒業し、 校長の老海軍大将と御礼言上に宮中へ行った車中での会話がある。 三島が特別幹部候補生を志願せずに一兵卒として応召する決心を非難して老提督は言う。 「列兵の生活には耐へられまい。しかし、志願の期日もすぎてしまったし、 いまさら仕方がない。これも君のデステネィだよ」彼は宿命といふ英語を明治風に発音した。
この老校長こそ海軍大将山梨勝之進(1877-1967)“アドミラル山梨”である。 (以下敬称を省略、山梨とさせて頂く)。
私は東京の学生生活を県人寮で過ごした。その舎監が山梨である。

海軍史を紡ぐ
山梨を知る人はもはや少ない。しかし彼は日本の海軍史を紡ぎだした人物であり、 海軍を去った後も立派な足跡を残している。

学習院で山梨の教え子であった橋口収氏(大蔵省、公取委員長など)は、 山梨の講話集「歴史と名将」」(毎日新聞社刊)の序文で 「山梨はいわゆる一介の武弁でなく戦史家であり高度の教養人である」と述べている。 これは見事に人間山梨の本質を言い当てている。

山梨は仙台藩士文之進の長男として仙台で生まれた。 13歳でキリスト教系の東華学校(校長が新島襄)に入り、 英語を身につけキリスト教をも深く理解した。 維新後、佐幕派の藩士の子弟はいかに俊秀といえども新政府に入る王道は絶たれ、 軍人か学者になるしかなかった。山梨は1895年海軍兵学校に進み2番の成績で卒業し、 海軍のエリートとして累進する。

日本の海軍史上山梨が深く関わった二つのことを書きたい。

1つは、日本海海戦(1905年)の旗艦「三笠」についてである。 当時、日本はロシアの南下政策を防ぐため艦隊の強化が必須であり戦艦をイギリスに発注した。 1900年山梨は駐英武官としてロンドンに赴任し、軍艦の建造監督をつとめ、 2年後に横須賀に回航する責任者となった。日露開戦の2年前である。 この戦艦「三笠」は山梨にとって愛し子のようなものであった。

もう1つは1930年のロンドン軍縮会議である。 米英は日本の海軍力増強を抑えようとし交渉は著しく難航した。 山梨は海軍次官(中将)であったが、財部海相が全権でロンドンに出張のため 実質的に海軍の最高責任者であった。軍縮をめぐり日本側は強硬派(艦隊派)と 国際協調派(条約派)が激突した。山梨(条約派)は会議の決裂を回避すべく 日本側の取りまとめに心血を注いだ。山梨は日米の妥協案をのむよう何とか政府をまとめ、 自ら起案して全権に発信した。これについて山梨は「私の血を吐くような電報であった」と後日自著のなかで述懐している。

軍縮会議は決裂を免れ条約は成立した。浜口内閣の最大の公約「国際協調」と「軍縮財政(建艦競争防止)は一応確保された。

しかし山梨の努力は報いられなかった。条約不満派の反発が強まり山梨は次官を辞任し、 1933年には予備役となった。ロンドン会議をめぐる海軍の分断は、 合理主義を伝統とする海軍にとって悲劇的な転回点となった。 日本は国際協調路線を失い(1936年にはロンドン条約から脱退)、国家主義、軍国主義に突っ込むことになる。

その後の山梨について長男・進一氏(数学者、故人)は記している。 「父は海軍を退職し読書と庭仕事の生活が始まった。シェークスピア、ロングフェローを好んだ。 ジュリアスシーザーの1節”There is a tide in the affairs of men” (人事には潮時というものがあって、ただ努力したからといって必ずしもうまく行くとは限らない) という句は父の人生観の1つであった」。

山本五十六は現役を離れた山梨に依然兄事していた。 山本が真珠湾攻撃の任務について自分の苦衷の心境を語った際に、山梨は 「それはデステネィなので仕方があるまい」と語った―とヴァイニング夫人は書いている。

学習院の存亡
1939年、山梨は学習院長に就任し翌年皇太子(現上皇)の就学を迎えた。 1946年迄の在任は第2次大戦の開戦、終戦という激動の中にあった。 更に、敗戦後学習院は存亡の危機に立たされたが、 山梨はGHQと粘り強く交渉を続け学習院を私立学校とすることによって難局を乗り越えた。 これは学習院史上特筆大書に値する。

この間、「天皇人間宣言(1946年)の起草にも参加している。 「天皇が自分は神ではないと宣言するアイデアは山梨が考え出した(法政大学・袖井林二郎教授)」ものである。

これらに加え、1946年にヴァイニング夫人(1902-1999)が 皇太子の家庭教師・学習院の英語教師として来日した。 この招聘は山梨の卓見、人柄と並々ならぬ尽力があって実現したものである。

山梨の学習院時代の活躍は、その教養、力量と人間性があって成功したと言える。 1946年山梨は学習院を去った。後任は元一高校長・文部大臣の安倍能成である。

1964年、学習院は山梨に「名誉院長」の称号を贈呈した。

仙台育英会五城寮舎監と晩年
五城寮は宮城県出身者の東京の学生寮であった。明治維新後、 仙台藩の有志が薩長勢力に対抗できる人材を育成する目的で結集、 その寄宿舎が五城寮である。五城は仙台の古い雅称である。 1951年に品川区大井町にある仙台藩下屋敷跡地の一部を東京都から借り新宿舎が建設された。 同年、山梨は郷党の切望を受けて舎監に就任した。

私は1950年代の4年間をここで生活した。いわば私の“青春の道場”である。 「仮面の告白」の老校長が山梨舎監であることを知りそのことを尋ねると 「ああ平岡公威のことか。頭はすごくいいがあれこれ理屈を言ってねー」と応じただけであった。

山梨夫妻は寮舎に続く質素な平屋に住んでいた。慈父のような山梨と寮生は起居を共にし、 その謦咳に接していた。私にはここで得た教訓が伏流水のように生涯を貫いて流れている。

栄光の老提督はヴァイニング夫人のこととなると楽しそうに語る。「家庭教師のもう一人の候補は未婚のハワイ大学の教授だった。 若くすばらしい美人だった。しかし私は熟考して44歳の敬虔なクウェーカー教徒のヴァイニングさんを選んだ。 陛下も私の直言をお受け下さった」と目を細める。山梨は彼女に「運命が銀の杖で引き寄せた」と語ったと夫人は書きとめている。

リップマン(1889-1974)のこと。ある日、私は先生に呼ばれ英字新聞のコラムを渡された。 「リップマンのものだ。彼はユダヤ系移民の3世でハーバードでは希代の秀才だった。 第1次大戦の戦場経験もある。今世紀最高の外交評論家だろう。 覚えておけ」―リップマンを知ったこのひとときは忘れられない。

私は2017年に「ポスト・トゥルースとメディア」という小稿を書いた。 ソーシャルメディアが氾濫し、事実・真実の報道が軽視されるメディアの現状について述べた。 資料を読むと随所に政治学者やジャーナリストがリップマンを引合いに出して論じている。 私は数10年前の山梨のことを想い出した。そしてリップマンに早くから瞠目していた山梨の慧眼に改めて驚嘆した。

1958年、山梨は舎監を辞任した。海上自衛隊幹部学校での講話と旗艦「三笠」の復元が彼の人生の最終章となった。 1967年山梨は90才の生涯を終えた。

五城寮は1984年に閉寮した。敷地は東京都に返還され、いまは品川区大井公園になっている。 2006年、五城寮有志はここに記念碑を建てた。 “仙台藩下屋敷・仙台育英会五城寮跡”の碑銘と山梨ら先人への謝辞を刻んだ。

また、「三笠」の1室にはアドミラル山梨の胸像が飾られている。

山梨は卓絶したストラティジストである。そしてその「運命論」には虚無のかげりは無かった。
                                    (2021年2月記)

    
海軍大佐時代の山梨氏       山梨勝之進氏
   大正5年撮影           明治10年〜昭和42年


ドイツの外交政策
ハンブルクケルバー財団が行った2019年実施のアンケート調査結果から一部報告(その1)

田中 満穂

ハンブルクにあるケルバー財団は1956年に設立され、公共的利益の調査・研究を続けている組織です。 今回は2019年に行われたアンケート調査からドイツの外交政策に対する一般ドイツ人の視点に関するアンケート調査結果を一部抜粋して紹介します。

まず最初の質問「ドイツは来るべき国差的危機に対してより強く関わるべきか、それとも現状よりさらに後退すべきか?」


2019年結果:むしろ後退すべき49%、より強く関わるべき43%、分からない5%、無回答3%
2018年結果:むしろ後退すべき55%、より強く関わるべき41%、分からない3%、1%。

つぎに「現在のドイツ外交にとって何が一番火急な問題か?」:


2019年:気候と環境31%、難民と移民26%、アメリカ/トランプとの関係23%、 中近東紛争16%、BREXIT/英国との関係9%
2018年:気候と環境5%、難民と移民30%、アメリカ/トランプとの関係28%、中近東紛争21%、BREIXT/英国との関係6%

つぎに、「国際的緊張状況の観点からドイツの現状をどうみるか?」


2019年結果:非常に安全14%、まあ安全62%、むしろ危険18%、非常に危険4%、分からない/無回答それぞれ1%

「ドイツの西側諸国並びにその価値観世界への帰属に賛成か、それともそれに属さない中立の立ち位置に賛成か?」


2019年結果:西側への帰属賛成55%、他国又は価値観を同じくする共同体にもっと近い関係を持つべき7%、 ドイツの外交的中立に賛成31%、分からない6%、無回答2%

「ドイツにとって現在どの国がドイツ外交政策で一番/二番目に重要なパートナーか?」


2019年結果:フランス60%、USA42%、中国15%、ロシア12%、英国7%
2018年結果:フランス61%、USA35%、中国12%、ロシア17%、英国6%

今回は紙面の関係でここまで。今後、日本にも関わるもっと興味深い調査結果が出てきます。
お楽しみに!


西洋音楽における言語訳の重要性と演奏について(その2)
演奏家としての音楽の再現について



会員 高橋 愉紀

30年間滞在したウィーンで、私は2人の芸術家に教えを受けた。 ウィーン3羽ガラスと言われていたパウル・バドラ―スコダ氏と、 ウィーンに亡命したロシア人のオレグ・マイセンベルク氏である。

スコダ先生は、楽譜の校正などにも力をいれていたので、 レッスンで生徒の楽譜に書き込むことが多く、”各自それを見て練習するように”と言われる事が度々あった。 それをもとに、練習を続けていると、不思議とその作曲家の響きが現れてくる。 長年楽譜を研究、分析していた彼だからこそ、生徒には的を得た注意書きができたのではないだろうか。 音楽学者としても有名であった彼の元で勉強出来たことは、私にとって名誉な事であった。 ウィーン国立音楽大学を卒業し、今度は亡命ロシア人のオレグ・マイセンベルク氏に師事した。

シュトットガルト国立音大のマスタ―クラスで、ドイツ演奏家国家試験を受けるまでの7年間、 みっちりと勉強した。彼のレッスンは、どういう方向を目指して練習しているかを見定めてくれて、 方向性のないただ指だけで弾いている演奏には、評価は厳しかった。

1981年にウィーンに亡命してきた彼にとって、演奏活動が第1であったため、 実際の彼のステージ上での演奏を通して、学んだものが多かった。 そして、2人の教授の音楽のメソード、目指している音楽の方向は全く違っていたが、 ひたすら作曲家に尊敬のまなざしを捧げる姿勢は、同じであった。

さて、演奏の定義は、音楽家によって異なるが、私にとってはひとえに音楽の再現である。 作曲家の意図をくみ取り、彼の表現したかった世界を、なるべく忠実に再現していく事である。

演奏会場では、作曲家と演奏家と聴衆の三位一体の構図をとり、 その音楽を改めて堪能するのである。 作曲家の意図を忠実に再現する事が音楽家の使命であるから、コンサートの前の準備は大変である。 とにかく曲を書いたほとんどの人は存命していないので、ここはどういう風に弾くべきか? とは聞けないのだ。ひたすら、彼の他の作品を研究し、また彼の年表を調べて解釈しなければならないのである。

現代では、人工知能なるものが画期的に人々に受け入れられ、 何でもできると思っている人が多い。しかし、私は芸術の世界だけは、 絶対にテクノロジーが入り込めない世界であると、信じている。 なぜなら、豊かで、細やかで、微妙に入り組んだ感情をもつ人間だけが、 知識や重ねられた研究のもとに、作曲家の感情をくみ取り、その音楽を再現できるからである。 また、解釈の自由を唱える音楽家も沢山いるのであるが、私はこの意見に反対である。 作曲家の頭の中に浮かんだ音は、唯一の音色を持った音であり、それを再現してほしくて、 楽譜には細かく指示を書いているからである。まだ録音などなかった時代には、 楽譜が彼らの意思を後世に伝える唯一の手段であった。

確かに現代では、楽器の大きさやコンサート会場の規模も、昔より考えられないほど巨大になっており、 当時の響きを再現することは、かなり難しくなっていると言えよう。 それでも、演奏者たるもの、作曲家の意図している事を再現し、 聴衆はその演奏を通して、彼の世界を体験し、感動するのである。 私にとっての演奏とは、このような構図である。

       
パドラースコダ氏              マイセンベルク氏  


クラシック音楽の楽しみ方  第9回

会員 高橋 善彦

今回は、弦楽器の話です。オーケストラで使われる弦楽器は、Violin, Viola, Cello(Violoncello), Contrabassのように弓を使う楽器(擦弦楽器)と、 Harpのように弦をはじく楽器(撥弦楽器)があります。 この他にも鍵盤楽器に分類し弦をはじくCembaloや、 弦を叩くPianoのような楽器も広い意味では弦楽器で、 歴史の中ではHarpのような楽器から分化しています。 範囲が広くなり過ぎますので、今回はViolinなどのViolin属とContrabassのようなViol属についてお話します。

メソポタミアにあったHarpのような弦をはじく楽器から、弓を使う楽器に分かれるのは8世紀より前、 中東イスラム圏で使われているラバーブ(RebabとかRebap)という楽器です。 Byzantine帝国でLyraと呼ばれ、 13世紀頃にはスペイン経由で欧州にレベック(Rebec)として伝わります。

     
      Rebab                   Cretaの Lyra

ルネサンス時期のイベリア半島では、弦楽器のことをビウエラ(vihuela)と呼び、 この呼び方がイタリアに伝わり弦楽器のことをヴィオラ(Viola)と呼ぶようになり、 楽器の大きさで呼び名が変化します。
  小さくした弦楽器(Viola + ino=Violino)
  大きくした弦楽器(Viola + one=Violone) =Contrabasso
  小さい大きくした弦楽器(Violone + cello=Violoncello)
となります。

代表的な弦楽器には、歴史的に古いヴィオール(Viol)属と少し新しいヴァイオリン(Violin)属があります。 Viol属は伊語でviola da gamba (脚の弦楽器)と呼ぶ楽器群で、 仏語ではViole、独語ではGambeと呼びます。 スペインから伝わったvihuelaが、 Veneziaで15世紀中期に独自に発展しViol属となっています。 Violin属は北イタリアで16世紀に生まれたようです。 Byzantineから伝わったLyraが、独自に発展した可能性も、Viol を改良する形で発展した両方の可能性があります。 この二つの楽器群の楽器は、例えばBachのマタイ受難曲で両方使われていますので親子ではなく、兄弟関係と分類しています。

Viol 属はフレットを採用しています。フレットと言ってもギターのように固定された物でなく、 弦を巻いたような物で移動可能です。Violin属にはフレットがありません。 Violin 属は木を厚くして強度を上げ大きな音が出るように工夫されています。 見た目の差は、Viol の裏板は平らで、響き孔がViolinの f の字の形ではなく、 Cの字の形の楽器が多くあります。

     
   Discant      viola da gamba     Bass   7本弦

Viol属の楽器には色々な種類がありますが、高音用から、Discant, Alto, Tenore, Bassの4種類が中心です。 この一番小さいDiscant Violでも上の写真のように膝で挟んで演奏します。 一般的にviola da gambaと呼ぶ楽器はBass Violです。 上の楽器の写真にあるように弦の本数が多く6〜7本程度の弦を備えています。 楽器の強度に関係して弦を張る力の差から、Violin属の楽器は4本の弦が5度の音程差に調弦しますが、 Viol属は4度や3度の音程差に調弦しますので、楽器の演奏可能な音域を確保するため に弦の本数が多くなります。楽器の形を見比べると、Viol属の楽器はViolin 属の楽器より、ややなで肩です。


現在、オーケストラで使われている弦楽器の中で、ContrabassはViol属に分類します。 なで肩で4度の音程で調弦しています。 Violoncelloのoctave下で同じ音域幅を確保するためには5本の弦が必要になります。


Violin



現存する最古のViolinは、フランス国王Charles IX 世が1560年にイタリアCremonaの Andrea Amati から購入した24本のviolinで、米国の音楽博物館に保管されています。 有名なAntonio Stradivari が製作した1716年製の楽器“Salabue”がOxfordのAshmolean博物館に保管されています。

主な弦楽器の奏法

  arco
  pizz.
  col legno
  sul ponticello
  sul tasto
  con sordino
  senza sordino
  弓順

弓を使って演奏する
ピチカート(pizzicato)は指で弾く
コル・レーニョは弓の木の部分で叩く
駒の近くで演奏し鋭い音色が出ます
指板の上で演奏し緩やかな音色が出ます
弱音器を使い演奏する
弱音器を外して演奏する
down up 弓の弾く方向



音の重さ、表情に差が付きます





弦楽器のsordino 弱音器は木製やゴム製が多く駒に付けて響きと音色を変化させます

弦楽器の歴史の中で、多くの種類の楽器が生まれています。 今は一般的に使われていない、弦楽器を少しだけご紹介しておきます。

Viola d'amore
17世紀後半から18世紀前半に使われた、6〜7本の弦と同数の共鳴弦を持つ楽器です。 viola da gambaの一種とされていますが、フレットは無く、肩に乗せて演奏します。 共鳴線が鳴るため、楽器の響きが残り、独特の魅力を持った楽器で、 愛のViolaと名前が付いています。 VivaldiやHaydnがこの楽器のために名曲を残しています。


駒の下に共鳴線が見えます

共鳴線を備え、少し大きいBaritonという名前の楽器があります。 やはりviola da gambaの一種でフレットを持っています。 Haydnはこの楽器を好んだEszterhazy公のために、175曲の音楽を残しています。

Violino piccolo
名前の通り小さなViolinは、バロック時代まで高音域用に使われていた楽器です。 見た目は子供用の分数Violinに似ています。調弦方法は、高音域用に短3度、もしくは4度上げます。 Violino piccoloを使った有名な曲には、J.S.BachのBrandenburg協奏曲の第1番があります。 バロック後期になってViolin属の楽器が改良され、高音域を演奏出来るようになって、 普通のViolinが音域を拡げ、violino piccoloは使われなくなります。


Arpeggione
1823〜24年頃、Wienのギター製造者Johann Georg Staufer が考案した6弦の弦楽器で、 弓を用いて演奏する楽器です。ギターの特徴、6本の弦、24のフレットを持っていますので、 guitar violoncelloとも呼ばれています。bass viola da gambaと似て、重音*を出すことが容易な楽器です。 1824.年、Franz Schubertは、この楽器の為にピアノ伴奏の名曲Arpeggione Sonata (D.821)を作曲しています。

*重音(Doppelgriff, double stop)複数本の弦を同時に鳴らす奏法です。 例えば、Bachの無伴奏Violinソナタや無伴奏Cello組曲などで多く使われます。


Arpeggione


ご質問、ご希望、ご意見などは、
協会の公式メールアドレス でご連絡ください。

記事の内容に全く関係の無い、音楽についてのご質問でも何でも結構です。ご遠慮なく、ご質問ください。 全てに巧く応えられるかどうかは、定かではありませんが、調べた上でご回答致します。



筆者


劇場便り その24

これまでの劇場だよりは、こちら からご覧頂けます

ブレーマーハーフェン 志賀 トニオ 氏

ドイツでは11月から部分的なロックダウン、12月から完全なロックダウンと、 コロナ対策を強化してきましたが、12月22日に1週間の感染者数の平均値の最高値を更新し、 その後も大変厳しい状況が続いています。 劇場では当初稽古とオンライン配信は認められていました。 11月下旬にはアドヴェントコンサート、 12月中旬からはオペレッタの立ち稽古が始まる予定になっていました。 子供達も時間は短縮されましたが、毎日学校に通い、私も練習の目標があった事から、 春先のロックダウンと比べると精神的な喪失感が少なく安堵していました。 アドヴェントコンサートではオルガンを担当していました。 このパートはソリストのような役割があったので、やりがいを持って準部万端で挑んだのですが、 稽古前日にキャンセルの知らせが。。感染対策の為にコンサート自体が無くなってしまいまた。

次の目標は12月14日から立ち稽古が開始するオペレッタ、 レハール作曲「パガニーニ」。オペレッタは私にとって毎シーズン指揮をする大事な演目です。 レハールはウィンナオペレッタの第2の黄金期(銀の時代)を代表する作曲家です。 代表作は初期の作品「メリーウィドウ」ですが、 中期からはオペラとオペレッタの融合を目指し、 劇的な音楽と場面展開を内包し、 オペレッタの伝統であったハッピーエンドも排した革新的な曲を作曲しました。 そのレハールの第2の人生の始まりと言われる曲がこの「パガニーニ」です。 主役は名ヴァイオリン奏者のパガニーニであるため、 難度の高いヴァイオリンのソロが頻繁に出てきます。 通常はオーケストラのヴァイオリン奏者が演奏し、テノール歌手が楽器片手に演技をするのですが、 今回はなんと自分で楽器も弾いて、歌も歌える人をゲストとして採用!そんな芸当を出来る人がいるのかと 興味深々中稽古初日を迎えました。

  
トニオさんの稽古場、ピアノの状況です

立ち稽古初日はまず演出家、舞台美術家によって今回の演出のコンセプトについての説明があります。 しかし、この日はベルリンから到着予定の2人が電車の遅延の影響で1時間程度遅れるとの事。 そこへ、2人の到着を待つ全出演者のもとに総支配人が登場。 なんとその日の午後からの稽古を全てキャンセルしなければならないとの事。 理由は、大道具さんの一人にコロナ感染者が出た為に劇場を閉鎖する事になったのでした。 その後演出家と舞台美術家が到着。朝5時半に出発したのだけども遅刻して申し訳ないと言いながら、 演出のコンセプトを説明し始めようとすると、 演出家助手(劇場付き)が申し訳なさそうに稽古のキャンセルを説明する。 呆然とする演出家。。。なんとか気を持ち直してコンセプトの説明が行われ、 曲全体をざっと通して稽古を終了し、1月に再開する事を期待して解散しました。 しかし、その後もなかなか感染者が減少せず、政府からは、 限りなくホームオフィスを推進するように指示が出たので、 稽古の再開を絶望視していたのですが、なんと1月11日から再開するとの事。 本番はしばらく出来ないけれど、ゲネプロまでは稽古する事になったのです。 再開される事になった最大の理由はゲストとの契約だったようです。 「パガニーニ」には3人の歌手、演出家と舞台美術家の計5人がゲストとして契約しており、 彼らはこの作品が終われば次の契約の仕事がありますから、今、稽古をしておかないと、 もはや「パガニーニ」は上演が不可能になってしまうのです。 こうして、ようやく立ち稽古が始まりました。しかし通常4週間ある立ち稽古が 今回は2週間しかありません。毎日時間いっぱい稽古し、へとへとになりながら、 それでもやっと仕事が出来る、音楽が出来る充実感を味わいながら過ごしていた所に また総支配人が稽古に登場。。またしても稽古をキャンセルしなければならない事に。 今度は劇場内に感染者が出たわけではなく、ブレーマーハーフェン市からの指導で、 劇場での稽古が禁止されてしまったのです。それでも2週間弱の稽古をし、 稽古最終日に初めての通し稽古をする事が出来ました。 その稽古は再開した時に活用する為に録画されました。

私はその通し稽古でピアノを弾いたのですが、舞台上からは今までに体験した事のない不思議な緊張感が 伝わってきて、弾きながらにして涙を流してしまいました。 その涙をなんとかこらえて通し稽古を終えると、そこには涙を流しながら帰って行く出演者達の姿がありました。


ブレーマーハーフェン 港近くで元気に


日本の祖父母のためのオンライン・ミニコンサートをひらきました


Copyright (c) 2021- 湘南日独協会 - All Rights Reserved.