ドイツの外交政策
ハンブルクケルバー財団が行った2019年実施のアンケート調査結果から一部報告(その2)
田中 満穂
前回21年3月14日発行のDer Windに寄せた報告の続きです。
2021年の今となっては世界情勢も大分変ってきている可能性がありますが、この調査結果は現在の傾向をも表しつつある気がしますのでご紹介します。
「ドイツは将来これらの国とは多かれ少なかれ一緒にやって行くべきか?」
赤線2019年/黒線2018年調査結果
フランス:77%/82%
日本:69%/18年度結果なし
ロシア:66%/69%
中国:60%/67%
英国:51%/55%
USA:50%/41%
この結果はすでにドイツでも中国に対する一定の脅威の反映かと思わせます。
「多くの人がEUの統合が現在危険にさらされているとみているが、その責任は誰にあるか?」
加盟国の大衆迎合的な政府:37%
EUと大衆迎合的な政府の双方:9%
EU自身:33%
その他:13%
分からない8%、無回答2% (複数回答許可?)
「EUはBrexit交渉でもっと英国に歩み寄るべきだったか?」
むしろノー:29%
全くもってノー:51%
イエス、全くそうすべきだった:7%
むしろそうすべきだった:8%
分からない4%、無回答1%
「温暖化対策についてドイツはEUでは積極的に推進すべきか、逆にブレーキ役を演ずるべきか?」
どちらもすべきでない:7%
どちらもすべき:5%
ブレーキ役になるべき:36%
推進派になるべき:48%
分からない3%、無回答1%
「ドイツの安全保障は現在、所謂、アメリカの核の傘に担保されている。ドイツは今後どうすべきか?」
US核傘に将来も頼るべき:22%
仏・英国の核防御に頼るべき:40%
独自の核戦力開発を行うべき:7%
核による安全保障は放棄すべき:31%
分からない7%、無回答1% (複数回答許可?)
「防衛費についてどうすべきか?ドイツ側」
赤線2019年/黒線2018年結果
更に増やすべき:40%/43%
減らすべき:15%/14%
現在レベル維持:41%/40%
分からない3%、無回答1%(2019年)
分からない2%、無回答1%(2018年)
「同じ質問、アメリカ側」
赤線2019年/黒線2018年
更に増やすべき:35%/39%
減らすべき:9%/11%
現在のレベル維持:50%/46%
分からない・無回答6%(2019年)
分からない・無回答5%(2018年)
「35000人の兵力を有するドイツ国内にあるアメリカの基地は祖国の安全にとってどのくらい重要か?
ドイツ側」
非常に重要:15%
重要:37%
それほど重要ではない:30%
全く重要ではない:15%
分からない3%(2019年)
「同じ質問、アメリカ側」
非常に重要:56%
重要:29%
それほど重要ではない:8%
全く重要ではない:5%
分からない/無回答2%(2019年)
「ロシアについてドイツにとってより重要なことは?」
上段2019年/下段2018年
対米との緊密な関係:39%/38%
米露同等の緊密関係:30%/20%
ロシアとのより緊密な関係:25%/32%
分からない5%、無回答1%(2019年)
「増大する中国の国際的影響をどう評価するか?」
赤線2019年/黒線2018年
積極評価する:9%/11%
評価しない:46%/42%
中間的意見:42%/46%
分からない2%、無回答1%(2019年)
分からない1%(2018年)
「強い経済的発展と専横的政治指導を伴う国家管理資本主義の中国国家モデルをどう評価するか?」
むしろ評価しない:44%
全く評価しない:43%
非常に評価する:0%
むしろ評価する:9%
分からない3%、無回答1%(2019年)
「中国問題に関し、ドイツにとって何が重要か?」
中国と緊密な関係を保つこと:24%
米中双方と同等の関係を保つこと:18%
米国と緊密な関係を持つこと:50%
分からない6%、無回答2%(2019年)
2019年の調査ではありますが、この状況は現在ではさらに顕在化しているものと思われます。
対中国感については、日本に勝るとも劣らない経済関係を中国と築いて来ているドイツですが、
日本より案外客観的な、冷徹な見方をしているのではないかと感じました。
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